六百二十九頁目
一通りの作業を終えてオウ・ホウさんと共に一旦豪雪地帯にある拠点へと戻り……始めたところで、とんでもない物を目の当たりにしてしまう。
ちょうど豪雪地帯に入り青いオベリスクのある山を右手に見ながら移動していると、非常に目立つ巨大な……肉食がうろついているのに気が付いてしまう。
見間違えるはずもないあのフローラを……した奴の同種だった。
前に見たところとは気温が違いすぎるのだが今更この島の生き物の生態について突っ込んでも仕方がない。
ただ唯一、どちらも山脈で見かけたという共通点はあるから或いは山がこいつの生息地なのかもしれない。
しかし今の俺達にとって重要なのはこいつがどこへ向かって動くかだが……ある意味で予想通りというか最悪の展開というべきか、その辺の生き物を食い荒らしながらだが確実に俺達の作った拠点に向かって移動しているのが分かってしまう。
どうやら長居し過ぎたがために追い立てるシステムがまた動き出したようだ。
そして今の俺達でも追い立てれるようにこいつを送り出してきたのだろう。
しかし寄りにも寄ってこいつを刺客に使うなんて……ますます管理者に対する怒りが強くなりそうだが、とにかく今はこいつをどうするか考えないといけない。
打倒するか逃走するか……或いはまた……。
六百三十頁目
最初の頃のスピノを思い出させる動きで超巨大な肉食はゆっくりとした足取りで蛇行しながら拠点へと向かってくる。
だからまだ時間的な猶予はある……そう思いながらも、どこか気が気でなくて俺達は急いで豪雪地帯の拠点へと戻った。
そして中で作業していたメアリーにすぐ事情を説明して……途端に取り乱して皆で逃げようという彼女を宥めつつ、俺達は三人で簡潔に方針を話し合う。
まず今すぐにこの場を離れるのは駄目だ……もしも未だに事情を知らないマァが日も暮れたころに戻ってきて、夜の闇であいつを見落としてそのまま拠点で休んだりしたらどうなることか。
かといってメモ書きなどで残していってもオウ・ホウさん達ならばともかく野生児のマァが読む……こと自体は左手首の鉱石のおかげで出来るだろうが、物を読むという習慣のない彼がそれを思いつくかは不安が残る。
だからマァが戻ってくるまでは誰かが伝言役として残らなければいけないわけだが、その間に万が一にもあいつが襲ってこないとも限らない。
だからあいつが襲ってきてもいいように対策を考えなければいけないが……これに関してはあいつは金属の建造物を壊せないことが分かっているので、それで防壁を作れば事足りるだろう。
ただどうせそうするのならばいっその事、また捕まえられるように捕獲用の罠を作ったほうがいい……とは理屈ではわかっているのだ。
だけど誰も言い出せない……俺だけじゃなくてメアリーも、オウ・ホウさんですら……。
それだけ前にあいつを捕まえた時のことはトラウマになっている……また誰かを失うのではないかという不安が……俺などは反射的に右手首の鉱石を見てしまう。
するとまるで俺を勇気づけるかのように淡い光を放った……ように見えた。
だけど他の二人が全く反応していないということは……いや、それでも俺はこれが彼女の想いだと思いたいし……彼女の期待に応えたい。
だから二人に向かって自分からあいつの捕獲についての計画を持ち掛けることにした。
……あいつさえ仲間にしてしまえば……そしてもしも前に捕まえた奴と性別が別で子供を増やせるようになればこれ以上ない戦力になるはずだ……やってやるっ!!
【今回名前が出た動物】
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
スピノサウルス