六百三十九頁目
四人で夕食を取りながら本日の戦果を話し合う俺達。
メアリーは子供たちの相手をする傍らで化学作業台を触っていたらしく、その使い方を完璧に覚えたと胸を張っていた。
やはり錬金術という形ながらも化学知識の下地があったのが大きいらしく、いずれ金の作り方も見出して見せると自信満々に語る彼女。
そしてこれからはセメントや麻酔薬の調合は任せるがよいと笑顔で言ってくれるメアリー……初めて会った時と比べてその表情はとても柔らかくなっている。
だから俺も彼女の顔をまっすぐ見つめながら笑顔を返しつつ、頼もしい助かるよと告げてあげた……ら何故か顔が赤くなったよう……き、気のせいだからねフローラっ!! い、痛いってばっ!!
……と、軽く右手首を押さえて悶える俺を事情を知らない三人は不安そうに……フローラの鉱石を埋め込むのに協力してくれたオウ・ホウさんは特に術後が悪いのか何度も尋ねて来た。
まあ冷静に考えればそうなんだろうけど……その可能性をもっと真剣に考えるべきなんだろうけど……何となく大丈夫だと思ってしまう。
何よりこうして痛みを感じる瞬間はフローラが傍にいるような気に……な、なるけど痛み以外でお願いしますぅっ!!
六百四十頁目
とにかくメアリーの報告を聞き終えたところで次に俺達が知り得たことを二人にも伝えておくことにした。
つまり洞窟内には殆どの建築物をおけないこと、だけど防護柵は設置できたからそれで強引に安全な場所を確保したこと、更には超巨大な肉食を捕獲用の罠を作ったこと。
更にその上でオウ・ホウさんはあの超巨大な肉食を観察しながら、何とかあいつを駆除する方法も考えたと語り出した。
果たしてその方法とはあいつの闘争本能を利用して、崖下に突き落とすという物だった。
確かにあの豪雪地帯は……というかあいつの出没する場所は大体山の近くで足場が悪く高度のある場所だ。
そしてあいつは他の生き物を前にすると途中にある何もかもを無視して突き進んでくる。
実際に観察していたオウ・ホウさんはそれで何度もあいつが岩か何かの上に乗っては足を滑らせるところを見ていたのだという。
ただ妙にバランス感覚が良いのか転んだりすることはなかったようだが、それでも崖下に落ちればその落下の衝撃でかなり身体が傷付くことだろう。
尤もあの豪雪地帯の場合は崖下が海になっているのでそこに落ちる可能性もあるが、その場合は極寒の海水に体温を奪われながら溺れることになるはずだ。
あいつを観察している間にこんな単純で効果的な駆除方法を思いつくなんて……コストのかかる武装しか思い浮かばなかった俺に比べて何とスマートな事か。
やはり戦いに関してはオウ・ホウさんが一番頼りになるようだ……尤も俺も一応思いついたやり方というか物品というか……とにかくオートタレットやアサルトライフル、それに無線機について話しておくのだった。
【今回名前が出た動物】
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)