九十三頁目
食事のために近くから果実を採取していた俺は、ふと最初の拠点を出発する前に確認した黒い果実の睡眠効果を利用できないかと考えた。
もしもこの効果を矢などに付けて麻酔矢でもできれば、それこそもっと多くの生き物を眠らせて仲間に出来るはずだ。
実際に蛇の麻酔効果で気絶した奴も仲間になったのだから……そう思い、早速その方法を考えることにした。
手っ取り早いのは矢じりの先にこの果実の汁を擦り付けることだ、早速試そうと石と皮からすり鉢とすりこぎを作ってみた。
そして実際に黒い実をすりおろして試してみたが、これだとあっさりと乾いて効果が失われてしまう。
つまり乾かないよう何かで包むか、汁を吸引させたものを張り付ける必要がありそうだ。
できれば睡眠効果が軽減されないよう、それ自体にも麻酔や毒の効果がありそうな物が好ましいが……果たしてそんなものが見つかるだろうか?
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やったっ!! 成功したっ!! これならいけるっ!!
すり潰した黒い果実の汁に色々と付け込んだり溶かそうと夢中になっていたせいで、皮を取る際に一緒に採取した肉を腐らせてしまったがこれを使うとびっくりするぐらいに馴染んだのだ。
これでできた麻酔薬で矢の先端をコーティングすると、はっきりと色が変わりしかもしみ込むようで睡眠効果が残り続けるのだ。
そして試しにまた近くに降り立ったプテラノドンに打ち込むと、一発で眠りに落ちて仲間にすることができたではないか。
パチンコなど目ではないこの威力ならばもっと巨大な生き物でも眠らせるだろう。
だから早速トリケラで試そうとして……思いとどまる。
あの巨体と分厚い皮をみるに、睡眠効果が全身に行きわたるまでに時間がかかる可能性があるからだ。
もしもその間に反撃されたらお終いだ……何か方法を考える必要がある。
それこそスピノを倒す際に作った罠のように、一方的に攻撃できる状況を作らなければ。
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な、なんだったんだ一体っ!?
トリケラを仲間にするために色々と準備をしてたところで、急に新しい生き物を見つけてしまった。
手の爪が異様に長い鳥にも似た顔をした俺より三倍ぐらい背が高い奴で、そいつは近くの草から果実を食べながら歩いていた。
だから草食だと判断した俺は、トリケラたちの例を思い出し近づいても安全だと……思い込んでしまった。
この島では先入観など何の役にも立たないというのに、むしろ初めて見る何もかもに対して用心しなければいけなかったのだ。
そいつは距離があるうちはこちらに見向きもしなかったというのに、ある程度距離が近づいた途端に怒ったように突進してきた。
凄まじい速さで逃げることも敵わず、おまけにその爪の一撃は余りにも鋭く皮の防具をあっさりと貫通して俺の皮膚に傷をつけてきた。
仕方なくプテラノドンのプテ君とドンちゃんをけしかけることでこちらへの関心を押し止めることができたが……またしても仲間を犠牲にしてしまった。
尤も仲間になったばかりだからか、ショックではあるけれど絶対に仇を取ってやろうとまでは考えなかった。
……自分の都合で犠牲にしておいて……皮の件でもそうだが、俺はだんだん人の心が無くなってきているんじゃないだろうか?
【今回登場した動物】
プテラノドン
トリケラトプス
スピノサウルス
テリジノサウルス(手の爪が異様に長い奴)