六百五十五頁目
皆に協力してもらったことで二台目の工業炉はそこまで掛らず完成にこぎつけることができた。
しかし代わりに貯め込んでいた資材は一気に使ってしまった……それこそ豪雪地帯の拠点に貯め込んでいた分では足りず、他の拠点に確保していた分までつぎ込んでしまったぐらいだ。
おかげで一時的に金属のインゴットを利用したクラフトは出来なくなってしまったが、二つある工業炉は物凄い勢いで金属鉱石を溶かしついでに放り込んだ木材を火薬の材料となる木炭へと変えてくれている。
この調子ならば使い込んだインゴット分ぐらいはあっという間に取り返せそうで、やはり工業炉を先に作ったのは正解だったのだとはっきり確信できた。
後は焼き上がる間にチマチマとその辺の岩を砕いて石と火打石を集めておき、火薬を作るためのもう一つの材料となる発火粉を大量に準備しておくことにしよう。
六百五十六頁目
唐突だけれど俺は今、オウ・ホウさんとマァの三人でスキューバセットに身を包み、クロスボウを手に海底へと向かっている。
その目的はもちろん新たなる生き物の捕獲であり……同時にそれが上手く行った場合は今度は海底の洞窟へ向かう予定だった。
もちろんその洞窟とは前に草食島の傍に見つけた資源のある狭い洞窟ではなく、マァが酷い目に合った大きな洞窟の方だ。
何故急にそんな話になったかというと、毒ガス洞窟の準備にもう少し時間が掛りそうだからその前にあちらの洞窟を下見しておきたいとオウ・ホウさんが言い出したのが理由だった。
確かにまだこっちの洞窟は初回時のマァがあんまりにも酷い状態で戻ってきたから、戦力が整ってから出ないと危ないと判断して今まで一度も中を覗きに行ったことはなかった。
しかし今、サメの軍団も四十匹を越えた上に他にもアンコウやエイもそれぞれ十匹以上仲間にすることが出来ている。
だから戦力的にはもう乗り込んでも平気だとは思うが、万が一に備えて俺達が乗る用に特別に強い奴を捕まえてから洞窟へ乗り込むことにしたのだ。
もちろんその強い奴とは俺が海底探索中に見かけた首長竜かモササウルス……或いは上手く行くかはわからないが、あの巨大なイカなどが狙いだ。
それらを三人分……マァも毒ガス洞窟と違ってあそこには再チャレンジしたいようなので、捕獲するのが今回の目的だった。
本当はメアリーも来たがっているように見えたけれど海底は危険だし、何より動物の子供達のお世話をしてもらいたいので残ってもらうことにしたのだ。
……というのは建前で、彼女が冗談めかして海水浴でもしたい気分だからと呟いたせいで反射的に彼女の水着姿を想像しそうになり……途端に右手首がズキズキとシャレにならない痛みで……あんな状態で海底には行けないよ……。
だけどせっかく海が近いんだから一度ぐらいフローラと海水浴に行けば……草食島のデッキで軽く遊ぶだけじゃなくて水着を作って二人で……きっと楽しかっただろうしいい思い出になったはずなのに……。
【今回名前が出た動物】
メガロドン(サメ)
アンコウ
マンタ(エイ)
プレシオサウルス(首長竜)
モササウルス
トゥソテウティス(巨大イカ)