ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第287話

六百六十三頁目

 

 何か目標を決めて探し始めると途端に見つからなくなる……その不思議な現象はこの島でも健在だったようだ。

 海中の探索を続けているがこういう時に限って目的の子が全く姿を見せてくれない。

 まあ元々巨大な肉食だけあって範囲当たりの個体数は少なめになっているのかもしれないが……。

 

 しかもその数少ない個体を先ほどの巨大イカの特殊個体が引き連れていたとすれば……それを倒してしまった以上、新しく出てくるまで時間が掛っているのだとすれば理屈としては納得がいく。

 それが正しいかどうかは分からないが、事実だろうと何だろうと結局俺達に出来ることは時間をかけてこの辺りを探して回ることだけだ。

 だから酸素ボンベの残量と相談しつつ、時折海底にへばりついているアンモナイトやウミサソリの様な生き物を狩って黒真珠を集めつつ、長々と海中を三人揃ってうろついて回り……そのうちに不意にオウ・ホウさんが何かを指し示した。

 

 果たして其方を見て……俺は思わず目を疑い水中眼鏡をこすってしまう。

 何故ならそこには下半身と思わしき部分にスカートの様な物をなびかせながら泳ぐ、謎の巨大生物を見つけてしまったからだ。

 驚きの余り他の二人の方を振り返るが、彼らも同じ物を見ているようで不思議そうに首を傾げながらこちらを見つめ返してくる。

 

 どうやら俺の目の錯覚ではなさそうだけれど……一体あれは何なのだろうか?

 

六百六十四頁目

 

 警戒しながらもゆっくりと先にいる未知の生命体に近づいて行ったところ、驚くような事実に気が付いた。

 何とあの下半身でヒラヒラしている物は……無数にまとわりついているエイの群れだったのだ。

 それに対してその本体は身体が細長い蛇にも似た……だけど何となく鯨を連想させる生き物だった。

 

 尤も鯨と言ってもあの筏を敵視してくる奴ほどは大きくないが……しかし何故こいつだけこんな風にエイがまとわりついているのだろうか?

 てっきり襲われているのかと思いきや、互いに攻撃し合うこともなく寄り添って動いている。

 結構あのエイは攻撃的はずなのだが……ひょっとしてコバンザメか何かのように共生関係であるのだろうか?

 

 不思議に思いつつももう少し近くで観察しようとした……ところでエイの一体がこちらに気が付いたようで振り返ってきた。

 

 すると途端にエイ共は一斉にこちらへと襲い掛かってきた。

 もちろんサメ軍団の敵ではなく、数が多いから少しだけ面倒だったが特に苦戦することもなく全滅させることができた。

 しかし取り巻きのようであったエイたちがやられてもこのクジラもどきは一切反応することなく、優雅に泳ぎ続けていた。

 

 どうやら共生しているわけではないようだが……何よりエイ達が襲ってくる距離に居ながらもこちらに攻撃してこないところを見るとこいつはイルカのように穏やかな気性をしているのではないか?

 だとすればあのイルカ達のようにこいつも手渡しで餌を渡せる可能性が……ちょっと危険だけど陸上で別の生き物を従えていたモフモフの肉食という前例を思い出せば……あいつのように周りの生き物を鼓舞して強める能力などを持っていたらと思うと、仲間に出来ないか試す価値は十分にありそうだ。




【今回名前が出た動物】

αトゥソテウティス(巨大イカの特殊個体)
アンモナイト
ウミサソリ
バシロサウルス(謎の巨大生物・蛇にも似たクジラを連想させる生き物・クジラもどき)
マンタ(エイ)
イクチオサウルス(イルカ)
ユウティラヌス(モフモフの肉食)
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