六百七十五頁目
朝になり荷物をまとめた俺達が早速海底洞窟へ向かおうとすると、今日もまたメアリーが不安そうに近づいてきた。
そして力なく俺の服の袖を摘まみ、上目遣いでやっぱり洞窟へ行くのかと……なら自分も行きたいと呟いてくる。
しかし寄りにも寄って海中にある洞窟という危険すぎる環境へ、未だに野外での活動に慣れていないメアリーを連れて行くのは危険すぎる。
だから改めて危ないことはしないと……必ずここへ戻るからと約束して、代わりに拠点での作業を任せると伝えることでようやく手を離して貰えた。
その際に何やら妙に瞳が潤んでいるように見えたのは……いや右手が痛いような気がするのも含めてどっちも気のせいだろう、うん……。
とにかく当初の予定通り三人で再びマグマの洞窟前に移動した俺達は、すぐに皆で手分けしてモササウルスと首長竜、巨大イカにクジラもどきの四種類にサドルを付けて回った。
後はサメ達と共に北上して海底洞窟を目指しつつ、道中でこいつらの性能を試していこう。
そう思いそれぞれの動物に分かれて乗り……オウ・ホウさんがモササウルス、マァが首長竜、そして俺が巨大イカに乗って移動を始めた。
そして各種生物の移動速度の差を確認しつつ、目に付いた野生の生き物……主にサメとエイを相手に片っ端から攻撃を仕掛けてみた。
果たして俺達が乗っている生き物たちはどれもサメよりはずっと速く泳ぐことが出来たが、あのクジラもどきだけはサメよりも動きが僅かに鈍いように見えた。
そのため結局は離れすぎないよう足の遅い動物に合わせて移動する羽目になったが、非常時に逃げる際にはこの移動速度の差は大いに意味を持つだろう。
そして戦闘能力についてはやはり単独で戦う上ではクジラもどきを除いてどいつもサメを遥かに上回っており、特に一発一発が重いモササウルスと触手で相手を拘束できる巨大イカは圧倒的と言っていい強さを誇っていた。
ただ問題なのは首長竜はその長く伸びた首先で噛みついての攻撃になり、また巨大イカは身体が大きすぎる上に泳ぐ際は胴体を前にするのに攻撃は触手で行うため身体を半回転させて攻撃するのだが……要するに攻撃の仕方に少し癖があり、身体の横側に貼りついてきた敵に反撃しづらいという面があった。
その点、モササウルスはサメと同様に顔の周辺を上手に攻撃してくれる上に首を曲げて身体の左右に群がった奴らにもそれなりに攻撃が届くようだった。
しかしそれ以上にすさまじかったのはクジラもどきだ……実際に乗ったわけではないがイカの周辺に群がる奴らに攻撃が当てづらかったので一度戦闘に参加してもらったのだが、何と身体の真横にくっついてきた奴にまで器用に攻撃を当てて見せていたのだ。
野生の生き物たちは本能なのか基本的に無防備に近いこちらの生き物の横っ腹を狙って噛みついてくるので、この攻撃の当てやすさの差は一考した方が良いのかもしれない。
……まあ基本的に戦闘はサメ軍団に任せておくつもりなのだから俺達が乗る生き物は移動速度の方が大事だとは思うけれど、一応このクジラもどきの性能もちゃんと試しておくべきかもしれない。
【今回名前が出た動物】
モササウルス
プレシオサウルス(首長竜)
トゥソテウティス(巨大イカ)
バシロサウルス(クジラもどき)
メガロドン(サメ)
マンタ(エイ)