ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第296話

六百七十五頁目

 

 クジラもどきに乗り換えて見てまず驚いたのは、その身体から伝わってくる温もりが妙に心地よいことだった。

 よほど高度な体温調整能力を持っているのだろうが、まさか背中に乗っている俺までもが恩恵を得られるとは……これなら仮にあの豪雪地帯の海中でも凍えずに探索が出来るかもしれないぐらいだ。

 浅瀬での傷の治りの速さに原油精製能力に加えて、こんな地味だけれどありがたい特徴まで兼ね備えているなんてびっくりだ。

 

 尤も代償とばかりに移動速度だけは海中で見た大抵の生き物より……それこそサメよりも遅いぐらいで、この欠点が意外と厄介だった。

 何せ海中では地形を始めとして移動に際し障害となりそうな物は殆どない関係上、緊急時に逃げる際重要になるのはそれこそ泳ぎの速さぐらいかないのだ。

 だから能力こそは便利だけれど、このクジラもどきに乗って行動するのは避けたほうが良さそうだ。

 

 これで戦闘にも役立つ能力があれば話は別かもしれないが……流石にそこまで欲張るのは無理があるだろう。

 そう思い再度巨大イカに乗り換えようとしたタイミングで、俺達の進む先にあの発光する半透明のクラゲ達が姿を現してきた。

 流石にクジラもどきでもこいつらよりは早く泳げるから逃げること自体は容易いが……せっかくの機会だ、洞窟の前に新しく仲間になった奴の中にクラゲの攻撃に耐性がある奴が混じってないか確認しておこう。

 

六百七十六頁目

 

 まさかとは思ったが、本当にあのクラゲの攻撃に耐性を持っている奴がいるなんて……。

 流石に巻き込まれたら不味いから俺達はサメに移りクロスボウを手にいつでもクラゲを撃ち抜けるよう構えてから突撃させたのだが、何と巨大イカと……あのクジラもどきも電撃を受けても動きが止まることはなかったのだ。

 尤も巨大イカの方は完全に麻痺を防げたわけではないようで動きは鈍っていたし攻撃もし難いようだけれど、それでも戻れと指示を出したらこちらへ逃げてくることは出来ていた。

 

 それに対してクジラもどきの方は完全にクラゲの攻撃に耐性がある様で、全く怯む様子もなく平然とクラゲ達を蹴散らして見せた。

 あれだけ色んな能力を持っているというのにまさか本当に戦闘に関してまでこんな便利すぎる特徴を兼ね備えているなんて……もしかして水中の攻略はこいつだけいれば十分なんじゃないかという気にさえなってくる。

 まあ流石に今からこいつを探して回るのは手間がかかり過ぎるし、今回の海底洞窟の下見はこのままのメンバーで突き進むことにした。

 

 もしも洞窟内にクラゲがひしめいていたらササっと引いてこのクジラもどきを大量に捕獲して改めて進めばいい……あくまで今回は中がどうなっているかの下見がメインなのだから。

 もちろん一気にいけそうならそのまま攻略してしまいたいところでもあるから、クラゲの数が少量ならばこのクジラもどきをけしかけつつ後ろからクロスボウで打ち抜いて強引に進んでみることにしよう。

 そんなことを思いながら進んでいたところ、ふいにマァが島がある方角を指し示した。

 

 果たしてそこには大陸棚とでもいうのか、海が急に深くなっている斜面があり……そこに大きな隙間、ではなく洞窟の入り口と思わしきものが見えていたのだった。




【今回名前が出た動物】

バシロサウルス(クジラもどき)
メガロドン(サメ)
クニダリア(クラゲ)
トゥソテウティス(巨大イカ)
プレシオサウルス(首長竜)

【今回登場した洞窟】

CavernsOfLost Hope(狡猾の洞窟)
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