六百八十一頁目
本当にこの島の洞窟は意地が悪い。
来るときは戦闘に夢中だったこともあるが、ちょうど普通に進むと見落としがちな岩場の影に小さいスペースが隠されているとは……。
しかもそこには右手の鉱石と同じ材質で出来ているであろう柱のようなものが岩に偽装するように立っているではないか。
戦力に余裕があって周囲の探索に専念できたからこそ違和感に気付けて、更に近づいて確認したからこそわかったのだが……全く持って水中という見通しの悪いところでこんなカモフラージュしてくるなんて……。
ただ逆に言えばそこまでして気付きにくくされている以上、何かしらの訳があるに違いない。
だから念入りにその柱について調べて見るが、僅かにアーティファクトの様な光を放っていることぐらいしか分からない。
それでも周りを泳ぎながら何かないかと探していると、途中で飽きたらしいマァが柱から離れた……かと思うと唐突に何かを指し示しだした。
その方向を見てみると何と海底に更に奥へと続く穴が開いているではないか。
それも丁度外部からはこの柱に隠れるような場所にだ……どうやらこの柱はこの穴に気付かせないための囮の様なものだったようだ。
離れていると見えなくて、近づけば今度はこの柱が気になって近くの海底などには意識を向けなくなる……たまたま子供で飽きっぽいマァが一緒にいたからこそ気づけたけれど……本当に意地が悪い事だ。
しかしこれほどまでに意味深に隠されている以上は、この先に何が重要な何かが隠されていても不思議ではない気がする。
もちろん探索しないという選択肢はない……が、問題は穴の大きさが洞窟の入り口に比べると非常に小さい点だ。
サメやクジラもどきなら複数並んで通り抜けるのは厳しいだろうが、一匹ずつならば問題なく入って行けるだろう。
ただ俺達の乗っている巨大な生き物たちは通れるかどうか……実際に出入り口付近に敵がいないことを確認して試しに通れるかやってみたが、器用に身体をうねらせれる首長竜とイカは何とかなったが図体がどっしりしているモササウルスだけは入ることができなかった。
……まあ何というかここまでモササウルスはあんまり役に立たなかったから、この場に残して進んでも大した差にはならないだろう。
だからモササウルスに乗っていたオウ・ホウさんに別の生き物へ……役立ち過ぎるクジラもどきへと乗り換えてもらった上で、まず前衛を任せていた二十匹のサメ軍団を奥へと進ませていった。
そして後衛の二十匹は戻ってきた際の安全確保のためにモササウルスと共にこの場を守るように指示を出してから、オウ・ホウさん、俺、マァの順番で奥へと入って行った。
果たして岩に囲まれた狭い空間を少し進んでいくと、先の方に激しい光を発行している何かが見えてきた。
一体何があるのか……そう思ったところで、先にその光の下へと辿り着いたサメ軍団が何かと激しく争い始める音が聞こえてきた。
蠢きながら噛みつき合うサメ軍団……その隙間から見えた相手はこれまた特殊個体のサメのようであった。
……本当に危険な洞窟だ……あいつらを前衛として先に活かせて本当に良かった……俺達が先だったらあの光に目を奪われている間に噛みつかれていたかもしれない。
とりあえずこのままあのサメ軍団が一通り敵を殲滅するまで、この狭い場所で待機しておくことにしよう。
【今回名前が出た動物】
メガロドン(サメ)
バシロサウルス(クジラもどき)
プレシオサウルス(首長竜)
トゥソテウティス(巨大イカ)
モササウルス
αメガロドン(サメの特殊個体)
【今回登場した洞窟】
CavernsOfLost Hope(狡猾の洞窟)