ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第306話

六百八十九頁目

 

 メアリーの意志は固いようで、何ならば今すぐにでもオベリスクに乗り込まんばかりの勢いだったほどだ。

 しかし基本的に拠点内作業に専念してもらっていて、危険な外を余り出歩いていないためにサバイバル能力も低い彼女を危険な生き物の居る場所に連れて行くのは躊躇われる。

 しかもオベリスクで飛んだ先ではほぼ確実に戦闘になるだろう……そこへ戦い慣れしていない彼女が付いて来ては下手をすれば足手まといになりかねない。

 

 だから正直ここで大人しくしていて欲しいというのが本音だけれど、流石に俺達を心配してくれている彼女にそんなことは言えなかった。

 代わりにオウ・ホウさんがまだオベリスクに挑むための支度には時間が掛るだろうから、それらが完璧に整ってから改めて話し合おうと言ってくれてこの場は収まった。

 ただ感情の収まりきらない様子のメアリーは、今からオベリスク攻略に備えて自分にできることをしようと言ってくれて……あの超巨大な肉食の繁殖を始めようと提案してきた。

 

 問題はどこで繁殖させるかだが、安全を考えれば金属の建材を利用した飼育所を用意する必要があるために工業炉のある豪雪地帯か火山の近くにある山肌の拠点のどちらかが良いだろうという話になった。

 その上でどっちにするかだがあんな超巨大な生き物を飼う施設となればかなりの面積が必要となるが、山肌の拠点は山の途中ということもあってあちこちに傾斜がありこれ以上新しい建物を建築する余裕は余り無かった。

 だから自然と木々を伐採すればある程度平坦な土地を確保できる豪雪地帯に超巨大な肉食用の住居を作ることになった。

 

 こうなると南東の端にいるあの超巨大な肉食をそこまで連れて来なければならないが、流石のケツァ君でもあいつを乗せて空を飛ぶのは厳しいだろう。

 何より背中の設備にあいつが乗るだけのスペースがないし、下手に足を滑らせて落下してその衝撃で死なれたら全て無駄になってしまう。

 だからどうやってそこまで連れていくか少し頭を悩ませるが、やっぱりあいつに地面の上を歩いて移動してもらうしかないだろう。

 

 時間こそ掛かるだろうけれどあいつならば仮に特殊個体が出てこようと問題なく倒せるだろうし、暴走にさえ気を付ければやってやれないことはなさそうだ。

 そこで俺は……あえてこの役をメアリーにやってもらうよう頼んでみることにした。

 もし本当にオベリスクの攻略についてくるのならばやはり少しはこの島の過酷な環境に慣れてもらいたい……少なくとも肌で危険を知って欲しい。

 

 そう思えばこれは経験を積むちょうどいい機会ではないか……あの超巨大な肉食と行動を共にしていればほぼ安全だろうし、あいつの暴走だってメアリーには飛行生物に乗って空を飛びながら追従させる形を取れば問題ないだろう。

 俺の提案にオウ・ホウさんも色々と慣れておくことは重要だと言いつつも、本人の意思次第だと呟いてメアリーを見たが……彼女は俺をまっすぐ見返しながらはっきりと頷いてくれた。

 ……一応細かく様子は見に行くつもりだけれど、これが上手くいけば超巨大な肉食に関してはもうすべてメアリーに任せて俺は重火器や武装などの調達に専念することにしよう。 




【今回名前が出た動物】

ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
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