六百九十頁目
話し合いの結果、オベリスク関連の準備は俺とメアリーで手分けして行うことになった。
尤もまずは毒ガス洞窟攻略のための支度が先だが、実際に作るものは重火器に防具とオベリスク攻略に使うのと同じだから特に問題はなさそうだ。
そして俺達がその作業をしている間、オウ・ホウさんとマァは残るアーティファクト確保のために動いてくれることになった。
具体的にはオウ・ホウさんが陸上に洞窟が残っていないか探しつつ、折を見て豪雪地帯にもう一つある強敵ばかりの洞窟へ偵察に行き内部で動物を育成するスペースを確保できないか試してみるつもりらしい。
逆にマァは海中をメインに洞窟がないか探索して回ってくれるようだが、そのついでに電撃対策となるあのクジラもどきを捕まえて回るつもりでいるようだ。
またマァも折を見てワニ系の生き物を中心とした水辺と陸地を行き来できる動物を引き連れて今回攻略した例の海底洞窟内にあった陸地の場所を探索してくれるという。
一人で洞窟に入らせるのはどうかと思ったけれど、あの洞窟に関してはアーティファクトがある場所にさえ入らなければ基本的に広くて幾らでも動物を連れ込むことができるから、数の暴力で何とでもなるだろう。
それでも俺達が探索していない陸地部分は慎重に行動するように強く言い含めておいたが、何だかんだでマァは危険にも慣れているから何かあればすぐに引き返すだろうしそこまで心配はしていない。
とにかく残るアーティファクトは三つ……これらを集め終えるまでにオベリスク攻略のための支度も済んで入れば丁度いいが……。
そう思い早速作業を始めた俺だけれど、一人になった途端に……終わりが見えてきたからか色んな事が思い浮かんでくる。
……本当にアーティファクトをはめ込むだけであのオベリスクは起動するのか……もしオベリスクが起動したとしても中にいる生き物を倒せるのか……もし倒せたとして、その先には何が待ち受けているのか……本当に何かが有るのか……それとも実際は何もなくて、先達者たちもその事実に絶望して命を絶ったとしたら……俺のしていることは……復讐もフローラの復活もただのまやかしに過ぎないんじゃ……。
先のことを考えれば考えるほど気分が暗く落ち込みそうになってくる……まるでフローラに出会う前に戻ったみたいだ。
あの時も何もかもに絶望して自殺すら考えて……そんな俺に希望という光をくれたのがフローラだった。
だから今も縋る様に右手首の鉱石に視線を向けてみると、やはり俺を落ち着かせようとしているように淡い緑の輝きを放ってくれた。
そんな鉱石の表面をかつてフローラを撫でてあげた様になぞっていると、何故か妙に気持ちが安らぐのだった。
【今回名前が出た動物】
バシロサウルス(クジラもどき)