六百九十一頁目
次の日から俺達は話し合った通り、各々でやるべきことをこなし始めた。
朝早くからペアラちゃんとプテラノドンに乗って出かけたオウ・ホウさんとマァを見送った後で、俺とメアリーもまたオベリスク対策のために動き出した。
具体的には夜のうちに完成させておいた超巨大な肉食を繁殖させるための設備の建材を乗せたアルケー君に俺が乗って豪雪地帯へと向かい実際に組み立てていき、その間にメアリーが護衛を兼ねてアルケンABCと共に南東にいる個体を連れてくるのだ。
尤も流石にいきなりメアリー一人で野外活動するのは無茶過ぎるので、最初の内は俺が傍で見守るつもりでいる。。
そしてある程度慣れてきた時点で俺は豪雪地帯へ赴き施設の建造を始め、メアリーのことはたまに様子を伺いに行く程度にする予定だ。
そうすればメアリーも一人で野外活動ができるようになる……何だかんだで彼女は未だに拠点から拠点への移動ぐらいしかしていないから、この機会に危険な生き物のあふれるこの環境でも普通に出歩けるように採取などの作業ができるようになってもらいたい。
何故なら本当にオベリスクへ共に挑むとして、向こうはどうなっているのかも何が起こるのかもわかっていないのだ。
最悪はメンバーが分担された状態で行動しなければならない状況も出てくるかもしれないのだから、その際に怯えていないで一人で判断を下して行動できなければ……死ぬだけだから。
また彼女がお留守番するにしても万が一のことを思えば……考えたくもないが、俺達がオベリスクの向こうにいる生き物に負けて全滅してしまったらメアリーは新しい住人が来るまで一人でこの世界を生き抜いていかなければならないのだ。
その時に野外活動が出来ず拠点に引きこもっていたら、貯えてある物資もいずれは尽きてメアリーは……そうならないためにも今回の件はいわゆるサバイバル研修として渡りに船だと言える。
実際問題あの超巨大な肉食を連れ回すことに慣れてしまえば、少なくとも洞窟などに挑んだり長期間一カ所に留まるようなミスを犯さなければどこで何をしていても安全だろう。
尤もこの島が洞窟にも挑まずただ漠然と生きているだけという停滞した状況を許すかどうかはわからないが、そこまで考えてもキリがない。
とにかくメアリーが一人でもやって行けるようになってもらうために、あえて俺は心を鬼にして早めに傍から離れるつもりだ。
……決してメアリーと二人きりだと妙に右手首が痛みやすいからではないからね?
しかし未だに新しい住人というか人間が現れる気配がないのはどういうことなのだろうか?
たまに南の海岸へ行っているが、新しい人のために残してある藁の家には誰も訪れた様子がないままだ。
一体何が起きたのだろうか……どうして急に……しかも丁度フローラを失った日からだ。
これはただの偶然なのか、それとも……そう思って右手首の鉱石を眺めるけれど意味ありげに淡い光を放つばかりでそれ以上何も答えは返ってこなかった。
【今回名前が出た動物】
タペヤラ(ペヤラちゃん)
プテラノドン
ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
アルゲンダヴィス(アルケー君・アルケンABC)