六百九十四頁目
もうここへ来るのは何度目になるだろうか……俺は今、オウ・ホウさんと共に毒ガス洞窟の前に立っていた。
ついに今日、俺達はこの洞窟を攻略する。
その為の準備は完全に済んでいる……ガスマスクも予備を含めて作ってきたし、俺の手にはアサルトライフルが大量の弾と共に握りしめられている。
早速高品質サドルを付けたカエルと外に待機させていた護衛用の狼軍団を引き連れて中へと入り、沸いていた蜘蛛やムカデに動物をけしかけつつ後ろから打ち抜いてやった。
タタタっと軽快な音と共に軽い反動で銃口が持ち上がりそうになるが、この島でサバイバル生活をして少しは逞しくなっていた俺はしっかりと抑え込みながら狙いをつけることができた。
当然そうなると銃口の先にいる敵の動物たちはひとたまりもなく穴だらけになり全身から出血しつつ崩れ落ちて行った。
連射できる銃を始めてみたオウ・ホウさんはライフルの時とは違って感心したような声を漏らし、今回も慣れ親しんだ武器として弓矢を持ってきている彼も後で自分でも使ってみようかとまで言い出した。
ついでに作り方も興味深そうに尋ねて来るオウ・ホウさん……多分元の世界に戻った時に参考にするつもりなのだろうが……まあタイムワープして連れて来られてる説も完全に否定できたわけじゃないからなぁ。
ともかくそんなことを話しながら洞窟を進み水たまりのある空間にまでたどり着くと、そこには防護柵で囲まれた安全な空間があり内部で動物たちが俺達を待っていてくれた。
育てる子供たちの護衛用に残してきた大量の狼軍団と育ったばかりの豚が四匹、そして立派に育ったナマケモノが六匹も待機している。
当然個々の攻略のために育ててきたこの子達も俺達に追従させることになるが、これである意味で前回の海底洞窟を攻略した時以上の戦力と物資が揃ったと言っても過言ではないだろう。
尤も代わりとばかりに今回はマァが居なくて二人での攻略になるけれど……こっちの戦力は整っているからこそ、あえてあの子には海底の探索の方を優先してもらったのだ。
何故なら未だに最後の洞窟が見つかっていないから……陸上は見落としこそあるかもしれないが全ての場所に足を延ばしているが、海底にはまだ踏み込んでいない未開の地が残っているのだから、そっちの方が洞窟が見つかる可能性が高いと踏んでのことだった。
何よりマァはまだ子供で注意力散漫だからこの毒ガスやら病気持ちのヒルやらが居るこの場所に連れて来るのは危ない……また不用意に行動して病気を媒介されても困る。
まあもう解毒薬も大量に作って持ち込んであるのでそうなっても平気だけれど、とにかくそういうわけで久しぶりに俺はオウ・ホウさんと二人での洞窟探索を行うことになったのだ。
ここで育てた動物を先行させ、その後ろからオウ・ホウさんが進み、最後尾を俺と連れて来た狼軍団を歩かせながら防護柵から外へと踏み込んだ。
果たして少し進んだところで先の方の通路からこっちの動きに反応したらしい蜘蛛や蛇に羽虫の群れが襲ってくるが、即座にナマケモノは野生の頃と同じく虫のフェロモンか何かに反応して激しく暴れ始めた。
その力は圧倒的でまるでティラノのような……或いはそれ以上の力強さであっさりと外にいる同種より遥かに固いはずの敵を一蹴してしまった。
想像通りこいつはこの洞窟内ではこれ以上ないぐらいの戦力だ……これならば油断して一人で行動とかしない限りは問題ないだろう。
【今回名前が出た動物】
ベールゼブフォ(カエル)
ダイアウルフ(狼)
アラネオモーフス(蜘蛛)
アースロプレウラ(ムカデ)
ダエオドン(豚)
メガテリウム(ナマケモノ)
ティタノボア(蛇)
メガネウラ(羽虫)
ティタノミルマ(羽虫)