七百八頁目
サメ軍団とクジラもどきの集団を率いながらマァの先導に従って海底を北上していく俺達。
定期的に浮上して方向が間違っていないことを確認しつつ進んでいくと、しばらくしたところで海底に長く伸びる海藻がたくさん生えている場所が見えてきた。
そこでマァは一旦動きを止めると、陸地のある方へと向きを変えると斜面になっている場所を探し始めた。
果たして少ししてマァが指し示した場所を見てみると、そこにはいかにもと言わんばかりに広がる洞窟の入り口があった。
何せ今までとは違い岩と岩の隙間に空いている穴のような形ではなく、長方形に似た岩盤が組み合って、まるで何かの建物の入り口のような状態になっているのだ。
これは間違いなく洞窟……だとは思うけれど逆に露骨すぎて怪しく思えてしまう。
それでもせっかく見つけたこの場所を探索しない理由はない……そして準備も整っているのだから、躊躇する必要もない。
だからマァと顔を見合わせると俺達はサメ軍団を先導させ、クジラもどきを護衛代わりに周りを囲ませながら共に中へと入って行った。
今回の洞窟は入り口も中に広がる空間も前の海底洞窟と同じく広々としていて、毒ガス洞窟とは違って並んで進むことができる。
だから基本的に道にさえ迷わなければこちらの戦力的に考えて、そうそう問題は産まれないだろう。
そう思いながらいつも通り右手の壁沿いに進んだところ、何度か折れ曲がったところで入ってきた場所でも見かけた背の高い海藻が繁殖している場所へと辿り着いた。
そこの海底には真珠がまばらに散らばっていて、その上をアンモナイトがのそのそと這いまわっている。
どちらもそこそこ貴重な素材が採取できるのだけれど、わざわざここで回収しなければならない理由はないために無視して進んだ……ところで奥の方で恐ろしいほどの巨体がうごめいているのが目に映り込んでくる。
尤も既に見慣れている相手だ……だからそのモササウルスの特殊個体がこちらに気づき襲い掛かろうとしているのを目の当たりにしても、俺達は冷静にサメ軍団に攻撃の指示を出すことができた。
すぐにサメ軍団に群がられてその大きな巨体を余すところなく噛み付かれた特殊個体は、あっさりと全身から血を噴出したかと思うと力なく浮上し始めた。
そこでふと何かが引っかかったが、それを考える前に奥の方から特殊個体の影に隠れていたらしいデンキウナギとクラゲが迫ってきた。
こちらはクジラもどきに指示を出して一蹴して貰ったが、こいつらの死体もまた力なくその場でプカプカと浮かび上がり始めた。
まあ退治した以上は採取しないのも勿体ないと思い近づいたところで、ようやく先ほどの違和感の正体に気が付いた。
モササウルスの特殊個体も他の生き物の死体も力が抜けて浮かび上がり……何と水面に顔を出しているではないか。
どうやらこの海底洞窟内は天井が高い上に結構酸素が満ちているようで、こうして水面が出来ていて浮上できる場所が広がっているようだ。
しかも丁度先ほど戦った場所は実際に近づいてみると浅瀬になっていて……水面に顔を出して周囲を見回すと先の方に上陸できそうな場所があるではないか。
……前の海底洞窟にも似たような場所はあったけれど、まさかこんなに早く上陸できそうな場所にぶつかるとは……ひょっとして今回こそ陸地を探索できないと不味いのか?
だとすると水陸両用のワニを連れてこなかったのは失敗だったかもしれない……運送に時間が掛るから、一回目の探索をメインに考えていた今回は連れてこなかったのだが……裏目だったかもしれない。
【今回名前が出た動物】
メガロドン(サメ)
バシロサウルス(クジラもどき)
アンモナイト
αモササウルス(モササウルスの特殊個体)
デンキウナギ
クニダリア(クラゲ)