ARK とある青年の日誌   作:車馬超

325 / 1041
第325話

七百十二頁目

 

 一瞬罠ではないかと疑ったものの、周囲に敵がいないことを確認しつつ手を伸ばすと当たり前のように回収できてしまった。

 何というかあんまりにもあっさり行き過ぎてどうにも実感がないが、手の中で怪しく輝くアーティファクトは間違いなく本物だった。

 とにかくこうなるとこれを持ち帰るのを第一に考えるべきだ……陸地部分も気になりはするが、とりあえず引き返すことにする。

 

 来たときとは逆に左側の壁に沿うように移動して、文字通り来た道を引き返すことで問題なく外まで出れてしまう俺達。

 今回は洞窟の奥行きもそこまでじゃなかったためか倒した敵も復活していなかったし、外に出たら昼過ぎぐらいで太陽はまだ高い位置にある……前の洞窟とは難易度が違いすぎる気が……まあアーティファクトが手に入ったのだから良しとしよう。

 これで残るアーティファクトは一つ……そして恐らくそれは例の豪雪地帯にある強敵ばかりの洞窟に眠っているはずだ。

 

 つまり後はあの洞窟の攻略に全力を費やせばいい……きっと今頃オウ・ホウさんとメアリーが協力してそのための準備を進めているはずだし、アーティファクトを拠点へ持ち帰った後で手伝いに行ってもいいかもしれない。

 どちらにしてもこれ以上海上にいる理由はないと判断した俺達は、早速飛行生物たちを置いてきた赤いオベリスク付近の拠点まで戻った。

 するとまたしても目に入ってくるのはズシンズシンと高らかに足音と振動を伴いながら移動する、山の様な巨体をした超巨大な草食。

 

 やはりマァは仲間にしたいようでジィっと眺めているが、あいつを捕獲するリターンが余り伴わない現状でアレに手を出す気にはなれなかった。

 まああれだけ大きいと幾ら移動していようと、遠くからでも狙いを外しそうにないから移動飛行拠点であるケツァ君の背中から一方的に麻酔を打ち込んでやれば問題なく捕獲できそうでもある。

 ただあれだけの巨体ともなると麻酔も莫大な量が必要になりそうだ。

 

 それこそ超巨大な肉食を眠らせる際もかなりの量を使ったのだが、こいつの大きさはそれ以上なのだから……今まで以上に強力な麻酔でも作れない限りは挑まないほうが良さそうだ。

 尤もそんなものが作れればだが……とそんなことを思いつつ、何気なく先ほどの洞窟探索で色んな生き物から手に入れた素材を眺めていたところふとクラゲから採取した毒素が目に留まる。

 ……あいつの電撃にはデンキウナギ以上に強烈なまでに身体が痺れる効果が混ざっていて、恐らくそれはこの毒素が絡んでいると前に考察した覚えがあったけれど……これを利用すれば眠らせるではなく気絶させたりできるのでは?

 

 そう思った俺が実際に左手首の鉱石を見つめてみると、いつも通り仄かに輝くと脳裏に強力麻酔弾の作り方が思い浮かぶのだった。

 これを作れば更に動物の捕獲は楽になるだろうし、早速拠点に戻ったら作ってみてもいいかもしれない。

 それとも豪雪地帯の洞窟攻略のための準備を手伝いに行くべきか……迷うところだが、とにかく一度拠点に戻ってから考えるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畜生っ!! 俺の馬鹿っ!! 何でこんなお気楽気分でいたっ!?

 洞窟攻略は危険だとあれほど自分に言い聞かせていたのに、何で分業なんかしようと思ったっ!?

 一つ一つ集中して行わないといけなかったのにっ!! まして最後に残ったあそこは危険だって知ってじゃないかっ!?

 

 なのに何で俺は……くそっ!! 死なないでくれオウ・ホウさんっ!!




【今回名前が出た洞窟】

ティタノサウルス(超巨大な草食)
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
クニダリア(クラゲ)
デンキウナギ

【今回手に入れたアーティファクト】

野獣のアーティファクト
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。