七百二十五頁目
目が覚めたらベッドの中で横になっていた。
一体何が起きたのかと混乱する頭を押さえながら上体を起こした……ところで何故か隣でメアリーが眠っていることに気が付いた。
どうやら俺は彼女と一緒の布団で眠っていたようだ……ってこれは不味いのではっ!?
慌てて跳び起きて距離を取りつつ右手首を押さえるが、不思議と痛みは発生しなかった。
今までの経験からすれば立っていられないほどの苦痛が襲ってきてもおかしくないのに……本当にどうしたのだろうか?
そう思いながら日記を開いて……俺はまたフローラからのメッセージを見つけて、現状の何もかもを忘れて読むことに専念してしまう。
……やっぱり見ていてくれたのかフローラ……ずっと感じてはいたけれど、こうして新たに事実を突きつけて貰えると嬉しさが込み上げてくる。
これなら右手首の鉱石さえ守り抜ければ、本当に彼女の復活も期待できるかもしれない。
そしてその為にはやはりこの島に人が産まれてくるメカニズムを含めた謎を解明しなければ……つまりどうしても管理者とコンタクトを取る必要がある。
尤もどうすればいいかは分からないが、向こうが用意している課題……アーティファクト集めとオベリスクの攻略を終わらせることで何かが変わるかもしれない。
試練を乗り越えたご褒美に謁見が許されるかもしれないし……或いは新しい課題が提示されるだけかもしれないが、それでも向こうの期待にこたえ続ければいつかは何かしらの形で接触できるはずだ……そう信じるしかない。
とにかくフローラとまた会える可能性が現実味を帯びてきたような気がして、俺はより一層この島の攻略に意欲が湧いてくる。
そこで丁度メアリーが目を覚ましたようで体を起こすと、こちらを見て二度三度瞬きしたかと思うと涙を流しながら抱き着いてきた。
またしても唐突な行動に驚きながらも右手首を警戒するが、やはり痛みは発生しなかった。
そのことに気を取られていた俺に対してメアリーはどこか嬉しそうな声で、フローラはまだ生きておると呟いた。
その言葉にひょっとしてこの日記を読んだのかと思ったのもつかの間、続けて彼女はフローラと少しだけれど会話を交わしたというのだ。
驚きの余り固まってしまう俺にメアリーが語ったところによると、昨夜俺が謝って電撃麻酔弾を自分に刺して意識を失った後、急に右手首の鉱石が光を放ったそうだ。
しかもその状態で俺は身体を起こしたかと思うと、フローラの声で話しかけてきたという。
最初こそ驚いていたメアリーだったが、声の違いと少し会話してみてお互いしか知らないことまで知っていたことで本当の彼女だと確信したらしい。
尤も余り長く身体を動かすわけにもいかないとのことだったので、彼女が日記を書いている間と俺の身体を休ませるためにベッドに入った際に一緒に横になって眠くなるまで話し合っただけのようだが……それで一緒に眠っていたわけか。
ようやく大体の謎は解けたが、ふと気になってフローラと何を話し合ったか聞いてみた・
するとメアリーは何故か僅かに顔を赤くしながら視線を反らしつつ、ぼそりと線引きについてその……とだけ呟くのだった。
……一体何の線引きなのやら……良く分からないがそれが右手首の痛みの軽減と何か関係があるのだろうか?