ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第339話

七百二十六頁目

 

 ともかく目も冴えてしまったので朝食を食べようと部屋を出て食堂へ向かうと、既に起きていたらしいマァとオウ・ホウさんが着席していた。

 ちょうどいいので俺達も彼らの傍に座りカスタムレシピを食べてお腹を膨らませながら、今度こそ洞窟の攻略を含めた今後の予定について話し合うことにした。

 尤もその前に強敵ばかりの洞窟を出た後休んでいたメアリーに状況を説明するのを兼ねて、あの後で各々が何をしていたかの報告を行うことになった。

 

 まずはオウ・ホウさんがカプセルを回収しつつ各種オベリスクを回ってこたことを伝えて来て……そして既に今の時点で青と緑のオベリスクに収めるアーティファクトは全て揃っていると報告してきた。

 これはつまり洞窟攻略の目途が立たなければ先にこの二つを起動することも選択肢に入るということになる。

 だけど先達たちの日記に書かれていることが事実ならば、転移した先で強力な敵と戦う羽目になるはずだ。

 

 そう考えると軽々に攻め込むわけにはいかない……せめてあの超巨大な肉食とティラノの量産が終わるまでは止めておいた方が賢明そうだ。

 それともし挑むとしてもどの順番で攻略するかも考えた方が良いかもしれない……ひょっとしてそれぞれごとに難易度が違う可能性もあるのだから。

 俺の時代の常識で考えれば緑が安全で赤が危険、青はその中間という感じになりそうだが……。

 

 特に赤いオベリスクに浮かび上がった影がドラゴンという超有名な強敵であることと、何より起動に必要なアーティファクト数が他のより一つ多い四つであることからしてもこれが最難関であることは多分間違いではないだろう。

 そう考えると本当に緑が比較的安全かもしれないが……問題はあそこまでどうやって動物を運搬するかだ。

 それぞれのオベリスクの元で新しく動物を育てる施設を作るのもアリだが、それだと育児に掛かる手間が何倍にもなってしまう。

 

 かといって流石にあの超巨大な肉食はケツァ君でも背中に乗せて運ぶのはスペースの問題もあって厳しそうだ。

 せめてあいつにもう少しのスペースがあれば話は別だったのだが……それかいっそ二匹目が仲間になれば上手く運搬専用に背中のプラットフォームを作れば或いは行けるかもしれないが……。

 或いは別のプラットフォームサドルを付けられる生き物で……そう考えた時にふとあの超巨大な草食を思い出した。

 

 あれだけの巨体ならばあの超巨大な肉食でも数匹は背中に乗せて運搬できそうだ。

 もちろん陸上しか進めないから飛行生物よりは移動に手間がかかるだろうけれど、あそこまで巨体だと木々をなぎ倒して進めるから意外に苦にはならなそうだ。

 実際に超巨大な肉食を繁殖のためにここまで歩かせて連れてくることもできたぐらいだ、悪くない案かもしれない。

 

 そう思って皆に伝えたところ、マァが唸りながらぶんぶんと激しく首を横に振って見せた。

 そして昨夜と同じ様に落ち込んだ様子で、駄目だ、失敗したと呟く。

 一体何のことなのかと改めて尋ねてみると、マァは言い辛そうにしながらもぽつりぽつりと語り始めた。

 

 何でも昨夜、マァもカプセルを回収しつつ有益な仲間になりそうな動物を求めてあちこち巡っていたが、その際にどうしても気になってあの超巨大な肉食の居る場所へ出向いたそうだ。

 そしてやっぱり仲間にしたくなったマァは……丁度動物運搬用にケツァ君に乗っていたこともあり、この背中から麻酔弾を撃てばやれると思ってしまったらしい。

 もしやってみて駄目でもさっさと逃げればいいとぐらいに思って早速始めたらしいが、何故かあいつは麻酔弾を喰らっても一瞬たりとも怯むことはなかったという。

 

 それでいて巨体を生かしてマァの想像以上の速度で追いかけて来て、余りの勢いにマァは方向を考える余裕もなく必死にケツァ君を動かしたという。

 その結果……海上へと飛び出してしまったマァとケツァ君を追いかけた超巨大な草食は、海岸の大陸棚から滑り落ちてしまい深海の奥深くへ沈んでいったそうだ。

 ……幾らあいつが大きいと言っても流石に海底に沈んでしまえば頭が出るはずもない……そして陸上生物である以上は呼吸だって出来ないだろう。

 

 道理でマァがこんなに落ち込んでいるわけだ……あれだけ捕まえたがってたレアな生き物を自分のミスで失ったのだから嘆くのも当然だ。

 ……しかし麻酔を喰らって一瞬たりとも怯まないとはまるで特殊個体のようだ……あの草食も流石に規格外すぎて捕獲できない生き物ということなのか、それとも……?




【今回名前が出た動物】

ギガノトサウルス(超巨大な肉食)
ティラノサウルス
ケツァコアトルス(ケツァ君)
ティタノサウルス(超巨大な草食)
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