ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第340話

七百二十七頁目

 

 マァの報告も聞き終えたところで、今度は俺とメアリーが昨夜起きた出来事を説明しつつフローラが書いたであろう日記を公開して見た。

 しかし幼いマァはともかく、オウ・ホウさんもはっきりと否定こそしないが信じがたい様子であった。

 何でも戦場で多くの生き死にを見てきて、その中で同じように死者が生き返ったとかメッセージが届いたという話を聞いたことがあったがその全てが幻覚や見間違いであったのだという。

 

 そして昨夜は強敵の洞窟の一件で俺達は心身ともに疲れていたはず……そう考えると何かの間違いという可能性もありえると思っているのだろう。

 ……確かにオウ・ホウさんの言うことは一理ある……実際に会話したメアリーや右手首に鉱石を移植して常に彼女を感じている俺だからこそすんなりと受け入れられたのだ。

 逆にそういう決定的なところを見ていないマァとオウ・ホウさんからすれば、常識的に考えて信じがたいのも無理ない話だ。

 

 こればっかりは仕方がないがちょっとだけ口惜しい……フローラも同じ思いを抱いているのか、少しだけ右手首の鉱石が淡く光った気がした。

 尤も日記に書かれていた新しいレシピで未知の料理が作れるのならば多少は信頼を得られそうだが……問題は材料の一つである樹液を持っていないという点だ。

 何せ今だに一度も手に入れたことのない素材なのだ……もうこの島にある素材はほぼ網羅したぐらいのつもりでいただけにまだ残っていた物があったとは驚きだ。

 

 尤も前に一度、樹液に関してはどこかで手に入れようとした覚えが……とそこでレシピに書かれている材料の一つ、蜂蜜を見てはっと思い出した。

 そうだ、蜂が巣を作っていたあの硬い樹木だ……ああして巣を作るからには良質な樹液でも取れるのではと思って、何か回収するための道具を作ろうとか考えたことがあったはずだ。

 当時は有耶無耶になってしまっていたけれど、きっと今なら……そう思って左手首の鉱石を眺めてみると思った通り、あの樹木に刺して樹液を回収できるようにする蛇口の作り方が思い浮かんでくる。

 

 これは後で作って誰かに樹木に刺してきてもらうとして、それも含めて今度こそ今後の予定について話し合いを始めるとしよう。

 もちろん議題はあの強敵ばかり出て来るあの豪雪地帯の洞窟の攻略方法だが、基本的にはあの地面から飛び出してくる厄介な生き物対策についてだ。

 あいつさえいなければ今まで通りのやり方で行けるんだがなぁ……どうしたものだろうか?

 

 最善はロケットランチャーで何もかも吹き飛ばしながら進むことだろうけれど、それをするには余りにも弾薬のコストが高すぎる。

 あの洞窟がどこまで奥深いかは分からないが、それによっては今の俺達ですら手持ちの資源が足りなくなりそうだ。

 逆に言えば時間さえかければ準備することも可能だが……何か他にいい方法はないだろうか?




【今回名前が出た動物】

イキオオミツバチ(蜂)
プルロヴィア(地面から飛び出してくる厄介な生き物)
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