七百三十四頁目
ある程度セメントを回収し終えたところで毒ガス洞窟前にある簡易拠点へ戻り、そこで仕事を終えたカエルを休ませてやる。
セメント回収用にカエル達はこの場所で飼うようにしているのだが、おかげで今回も思いついた傍から行動できたのでこれは正解だったようだ。
何だかんだで生き物の運搬は時間が掛るからこうして少しでも節約できる方法を考えるのは良い事だろう。
実際問題、今二匹目を捕まえているケツァ君ならどんな生き物でも空を飛んで運べるようにはなるだろうけれど、あの子達は地味に移動速度が俺の知る限りの飛行生物の中で最も遅いという欠点がある。
まあそんなの気にならないぐらい障害物の無い空をあれだけの重量を持ったまま殆ど休憩できず移動できるスタミナ持ちという長所が大きすぎるのだが……それでも時間が掛ることは事実だ。
それに運搬する生き物が増えれば複数回往復する必要だって出てきてしまうし、やっぱりその場所でよく使う動物は現地に拠点を作って管理したほうがいいだろう。
まあケツァ君より速くて大量に荷物を持って空を移動できる乗り物なり……そうゆう手段が取れるようになれば話はまた変わるのだろうけれど……。
それこそオベリスクを起動した際にはどこぞにワープするというし、その技術を応用した転移装置でも作れたら一気に楽になりそうだが……そう上手い話はなさそうだ。
……なさそうなのだけれど空を高速移動できる乗り物と転移装置について考えた時、一瞬手首の鉱石が仄かに輝いた気が……ま、まさかどっちかが……あるいは両方とも本当にあっていずれは作れるようになるのだろうか?
尤もじっと鉱石を見つめても今の時点では思いつくことができないようだし、今の時点では計算に入れないほうが良さそうだ。
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樹液の蛇口も付け終えてセメントも無事に回収できた……だから後は一人でやろうとオウ・ホウさんとは別行動をとることにした。
カプセルと仲間を求めて飛び去ったオウ・ホウさんを見送った後で、俺は近くにある山や火山から金属鉱石や水晶、それに黒曜石を回収して回り工業炉のある山肌の拠点へと戻った。
そしてインゴットと木炭を回収して代わりに金属鉱石を投げ入れ、次いで木炭を作るべく今度は木材を探しに行こうとした。
しかしこの辺りは樹液の取れる硬い樹木ばかりで、こいつは鉄の斧でも文字通り歯が立たないから木材の回収は思わしくない。
それでも多少は取れるのだけれど……もっとガッツリ欲しいと思った時に、ふと拠点内でのほほんとしている動物たちの中にビーバーが混じっているのが目に留まった。
そう言えばこいつはダムなのか倉庫なのかよくわからない物を作るために木材を勝手に集めてくる習性があった気がした。
拠点の中には木材を取れる場所がないためかこいつは餌箱の餌を漁ってのんびりとしているが……確かこいつを捕獲した湖にビーバー達を大量に捕獲して放置していたはずだ。
前にも一度薬の材料となるレアな花を求めていた時に一度立ち寄ってみたら、大量に木材を集めていたはずだ。
丁度いいので久しぶりにあそこへ顔を出して木材を回収して来ようと思い、アルケンAに乗りそっちへ向かって移動を開始して……途中にある別の山の頂上を通りがかった際に何かが上下に動いているのに気が付いた。
落石にしては何度も跳ね過ぎだし、むしろカエルの様な生き物が移動しているような動きだが……だけど帰るとは色と言い大きさや形も変えるとはまるで違う。
何よりカエルの生息地である沼地と山では環境が違いすぎる……となると別の生き物の可能性があるが、あんな風に跳ねながら移動する生き物に心当たりはなかった。
つまり新種の可能性が……そう判断した俺は早速携帯している望遠鏡を取り出して確認しようとして、一目見ただけで初めて見るその生き物が何なのか分かってしまう。
お腹に大きな袋があって二本足でピョンピョン跳ねながら移動するあの生き物は間違いない……カンガルーだっ!!
【今回名前が出た動物】
ベールゼブフォ(カエル)
ケツァコアトルス(ケツァ君)
カストロイデス(ビーバー)
プロコプトドン(カンガルー)