ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第356話

七百四十七頁目

 

 とにかく敵を倒し終えたところでまた豚に動物たちの傷を回復させてもらい、その間にいつも通り進む道の探索を行うことにした。

 しかし今回は水の流れも止まっていることもあり、中々進める場所を見つけることができなかった。

 これは本当に水たまりの中を潜って探さなければいけないかもしれないが、俺達の着ている毛皮の装備は水に濡れたら保温効果も何も台無しになってしまいそうだ。

 

 しかもどんどん地下へと潜っているせいか段々寒さも増してきている気がする……恐らく高品質な毛皮装備がなくて普通に作れる毛皮装備だけで挑んでいたら凍傷になっていたかもしれないぐらいだ。

 そんな寒さの中で水の中に潜るのは流石に危険すぎるのだが、もしそうしなければならないのならばここに焚火か篝火を大量に焚いて温度を調整しながらどうにか対処するしか……と思ったところで、マァが風の通りがどうとか言って俺達を呼び出した。

 果たして彼の指さしたところには大量の水晶資源が密集していて見づらいが、奥の方に道らしきものが続いているではないか。

 

 野生の勘というか、よくぞまあこんな意地悪な隠し方をしている道を見つけられたものだ。

 マァを褒めてやりつつ早速水晶をピッケルで砕いて道を通れるようにしてみたが、そこで新たな問題が発生した。

 それはこの道が余りにも狭いということだ……高さも横幅もどちらともだ……。

 

 具体的にはティラノが身体を擦りながらなら何とか入れなくもないぐらいだが、もし途中で出っ張りなどが有ったら間違いなく引っかかる。

 おまけにこの道は妙に湾曲しているため、途中でティラノが通れない場所があっても不思議ではない。

 勿論逆に言えば他の子達は全員通ることが出来るというわけなのだが……この洞窟内にいる強敵共を相手に護衛のティラノ抜きで進んでいいものかどうか……。

 

七百四十八頁目

 

 進むべきか戻るべきか迷うところだが、とにかくパロロ君二世で敵が居るのかどうかの確認をすることにした。

 すると僅かに湾曲している道の折れ曲がった先、丁度視界が途切れている辺りからパロロ君二世の音に反応する気配が伝わってくる。

 やはり敵は居るようだ……しかもこの狭い道の中ではティラノは一頭しか戦いに参加できないため苦戦は必至だ。

 

 これはどうしたものかと皆と軽く相談するが、とにかくこの道にいる奴ぐらいは先ほどのように遠距離武器でこの広い場所までおびき寄せて退治しておこうという話になった。

 だからティラノ二匹だけを待機させた状態で曲がり角というか視界が途切れている辺りまで進もうとして……ちょうどその辺りの壁に妙に光り輝く水晶があり、その傍の地面の上に転がる何かを見つけた。

 最初は何かわからなかったが望遠鏡で覗いてみて……人型をしていることに気づいて愕然としてしまう。

 

 果たして近づいてみるとそれはカチコチに固まった元人間のようだった。

 恐らくは俺達がこの洞窟に潜るよりずっと前にやってきて……やられてしまったのだろう。

 この洞窟をここまで潜っている時点で相当の猛者であっただろうに……出来れば生きているうちに会ってみたかった。

 

 思わず手を合わせるとオウ・ホウさんも同じようにしていて……メアリーはショックを受けた様に自らの口元を手で覆っていた。

 ただ一人マァだけは痛ましそうな顔こそしているが、何やら遺体を調べようとしていて……結局カチコチで完全に硬直していて調べようがなかった。

 それこそ身体にくっつく形で固まっている手も同じで、その手首に俺達と同じ鉱石があるかもわからなかった。

 

 ……尤も鉄のピッケルなどで砕けば調べることはできただろうけれど、仮にも人の遺体をそんな風に分解する気にはなれなかった。

 やはり動物はともかく人間の身体に手を掛けるのには未だに抵抗がある……これがこの島に生きるサバイバーとして甘いのか、それとも人間として尊重すべき感覚なのか……俺には判断が付かなかった……付けたくもなかった。

 ただそんな俺の気持ちをわかってくれているのか俺の右手首についているフローラの鉱石は淡く温かい光を軽く放つのだった。




【今回名前が出た動物】

ダエオドン(豚)
ティラノサウルス
パラサウロロフス(パロロ君二世)
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