ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第366話

七百六十四頁目

 

 一通り敵を倒し終えたところで一旦高台へ戻り、パロロ君二世に残っている敵がいないか確認してもらった。

 するとここにも数匹ほど例の奴が穴に潜って隠れているではないか。

 ただ他には残っていなさそうだったので、こいつらをロケットランチャーで引きずり出した後で下にいる動物達に倒して貰った。

 

 これでようやく進むことが出来そうだが、まさかこんな狭い通路のような場所にまであいつが潜んでいるとは……つくづくパロロ君二世を連れてきてよかった。

 この子がいなかったら一体何度奇襲を受けていたことか……本当に質の悪い洞窟だ。

 とにかく安全が確保できたことで改めて右手の壁越しに進んでいくと、またしても壊せる水晶が壁となっている場所にぶつかった。

 

 今回は見通しが良いからこの先に道が続いているのは普通に分かったが……問題はその道の先にも敵がわんさかいるのも見えている点だ。

 水晶を壊すにはピッケルや斧を叩きつける必要があるが、メガちゃんの背中に乗ったまま行うのはなかなか難しい。

 だからと言って降りて振るっていたところをもし向こうに気づかれて襲ってこられたら厄介なことになる。

 

 またこの傍に例の穴に隠れている奴が居たら……尤もこれはパロロ君二世のおかげで居ないと分かり、心配する必要は無くなった。

 後はあの先にいる奴らをどうするかだが、少し考えてこの水晶を文字通り壁代わりにしてこっちから撃てば安全に攻撃できそうな気がする。

 そうやって見えている敵を一掃したところで壊し始めるのが一番安全だろう……そして今回はそれを行える程度の弾薬は持って来てあるのだ。

 

七百六十五頁目

 

 思った通り水晶は防壁としての役目を十分に果たしてくれた。

 そして俺達は恐竜の背中から撃つことで、射線を確保して一方的に攻撃することが可能になった。

 それでもやっぱりアサルトライフルだけで敵を殲滅するにはそれなりに時間がかかってしまった。

 

 まだメガちゃん達は眠そうでないように見えるが……もしも戦闘中に眠られたら大変なことになる。

 少しでも兆候が見えてきたら即座に引き返すことも視野に入れたほうがいいかもしれないが、とにかく今はまだ進めそうだ。

 改めてピッケルで水晶を砕き先へと進むと、僅かにまた水たまりのようなものが見えてくる。

 

 しかしそれよりもその手前に大量に湧いている敵の数々の方にげんなりしてしまう。

 ついさっきあれだけ倒した後なのにまたしても……尤も狭い道の先に居ることと、こちら側には多少広くなっている空間もあるためここで待ち構えて迎撃すれば問題ないだろう。

 果たしてあっという間に敵を倒し終えた俺達は、奇襲だけは受けないようパロロ君二世に小まめに敵を探知してもらいながらその水のある場所へと赴いた。

 

 その場所はまたしても地面の浅い場所が水没しており、ちょうど先へ進める道との間もほんの僅かだが水没してしまっていた。

 しかも微妙に水かさが少ない上に、僅かに水が流れているのか陸地部分と接している部分が削り取られて急斜面になっている。

 これだともしもこの水たまりに落ちてしまったら両手を使える人間ならともかく、動物が這い上がるのは難しそうだ、

 

 ただ通路と通路の間にある水たまりは幅が狭いこともあって、背の高い動物なら踏み越えることが出来そうだしレオ君の同種など足腰の強い子ならジャンプして飛び越えられそうだ。

 皮肉にもメガちゃん達はどちらをするのも微妙に辛そうなサイズだったが、それでも何とか超えることに成功した。

 しかし超えた先の道を改めて観察すると、上に向かっての坂道になっていて……前のメアリーの推論が正しければこの道は間違っているような気がしなくもない。

 

 ただ他に進めそうな場所は全く見当たらない……もちろん水たまりの中は探していないから、そこにある可能性は零ではないが……とにかく今はこの道を探索しきってみることにしよう。




【今回名前が出た動物】

パラサウロロフス(パロロ君二世)
プルロヴィア(例の穴に潜ってる奴)
メガロサウルス(メガちゃん達)
ティラコレオ(レオ君の同種)

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