ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第375話

七百七十六頁目

 

 ついにこの日が来た……動物の運搬も終わったところで、毛皮の装備で身を固めた俺達は青いオベリスクの前に集まっていた。

 そして連れてきた高品質サドルを付けたギガノト十匹……ではなく六匹をまずオベリスク内に収まる様に配置していく。

 せっかく十匹も育てたのは良いが、実際に並べようとして見ると狭くてギリギリになってしまったのだ。

 

 これでは他に連れ込める生き物が脚の間に入る小柄な奴ばかりになってしまうし、どうせなら数多く生き物を連れ込んだ方がいいと判断したのだ。

 それに何と言うか少しだけ不安なのが、ギガノトを乗せた際に大きすぎるためか地面に敷かれているオベリスクの機械部分が鈍い音を立てて軋んでいたのだ。

 まさか重量制限があるとは思わないが、万が一ギガノトが弾かれたらと思うとやっぱり別の子も連れ込んでおくことにしたのだ。

 

 とにかく六匹にしたことで空いたスペースを利用……する前にその足元に入れそうな小柄な豚と向こうの環境が分からないので壁登りが出来るレオ君の同種それに高品質サドル&ケーキ持ちのテリ君の同種をそれぞれ♂♀でワンセットずつ配置した。

 その上で残ったスペースにティラノ六匹とバフ要員のユウキィ君を♂♀ワンセットを配置して、最後にその外側に賑やかしぐらいの気持ちでその辺で大量に捕まえた狼を連れ込めるだけ連れ込んでおいた。

 また空中のスペースに飛ばせているアルケン達も配置しておこうとしたが、飛行生物はまるで洞窟内に連れ込んだ時のように嫌そうにしてすぐオベリスク外の地面に着地してしまうのでこれは断念した。

 

 飛行生物が使えたら色々と便利なのだがどうやら許されないらしい……まあドラゴンはともかく、ゴリラも大蜘蛛も空を飛べないのだから飛行生物が使えたら反則過ぎるのだろう。

 代わりに無理やりサドル付きで色んな素材を持たせたビーバーを同じく♂♀セットで場所に連れ込んでおくことで、向こうで何かあってもすぐに作業台レベルの道具は作ったり修理できるようにしておく。

 

 そこまで準備した上で最後に俺達は向こうの環境がどうなっているか分からないためにガスマスクと酸素ボンベ、それに水と食糧、護身用の高品質アサルトライフルに障害物処理用のピッケル、そして大量のメディカルブリューに弾薬を持った状態でそれぞれが育てたギガノトの上に騎乗した。

 

 これで考え得る限りの対策は済んだはずだ……これだけの戦力をもってして勝てない相手がいるとは思えない。

 だけどやはり何が起こるのか不安で少し身震いしそうになる……見ればオウ・ホウさんはともかく他の二人も少しだけ緊張した面持ちでいるではないか。

 そんな俺達をオウ・ホウさんが自分が中心となって戦うから無理しないようにと言ってくれて、また俺の右手首にあるフローラの鉱石も俺達を鼓舞するように光っている。

 

 ……こんな状況で最初からこの島にいる俺が落ち込んでいてどうする……いやこの震えは武者震いだ、そうに違いないっ!!

 自分にそう言い聞かせながら俺もまた皆に絶対に上手く行くと安心させるように告げてやり、その言葉に皆が顔を上げて頷くのを見てから……出発の宣言をした。

 そしてオウ・ホウさんがギガノトの背中から器用に弓矢をオベリスクのスイッチめがけて打ち込み装置を起動させて……そこで予想外の変化が起こった。

 

 靄が端から広がっていくのは変わらないのだが近くにいたアルケン達が騒めき始め、中心に居たレオ君の同種もまたこの場に居たくないとばかりに強引に外へと抜け出していったのだ。

 更には外側に散らばっていた狼達もこちらは困惑気味にしながらも弾かれるように範囲外に押し出されていき、おかげで他の生き物も少し動揺しそうになってしまう。

 それらを必死に制止するように指示を出し続けて……そうしている間にカウントが零となり俺達を激しい光が包み込んだ。

 

 余りの眩しさに目を閉じた俺達を一瞬だけ浮遊感が包んだかと思うと、ドンと着地する音がした。

 恐る恐る目を開けてみれば相変わらずの雪景色が広がるが、目の前の地面がレンガか何かで舗装されているではないか。

 間違いなくそれまでいたのとは違う場所に飛んできたのだと理解した俺だが、すぐに他の皆の様子を確認することにした。

 

 まず仲間達だが人間は全員しっかりと残っていて、動物達もあの時範囲外に出て行った子以外は全員揃っている。

 その数はぴったり二十匹であり、自発的に逃げ出したレオ君はともかく押し出される様子だった狼を思えば多分一度に連れ込める数が二十匹ということなのだろう。

 そしてレオ君が逃げ出したことに関しては……まあ飛行生物と同じく壁を登れると色々と悪さが出来てしまうためなのかもしれない。

 

 そう考えると転移先では純粋に強敵との戦いだけが待ち受けているのかもしれない……まあ雪が積もってることもあって寒いから環境には配慮する必要がありそうだが……。

 そんなことを考えながら改めて舗装された道を進んでいくと、すぐに階段が見えて来てその先には壊れかけた寺院のような建物の残骸があった。

 階段を上り切ったところにある入り口の両脇には強敵の洞窟で見かけたゴリラの像そっくりな物が門番のように設置されていて、その奥にある寺院の跡地の内部に……そいつは待ち構えていた。

 

 石造のゴリラと同じかそれ以上の大きさであり、ティラノと同等以上の体格をしたそいつは俺達を見るなり大きく吠えて……その声に呼応するかのように現れた島でも見かけた覚えのあるサイズのゴリラを引き連れながら襲い掛かってきた。

 特に巨大ゴリラはギガノトに恨みでもあるかのようにまっすぐ睨みつけながら一直線にこちらへと向かってくる。

 しかしこんなことで負けていられるものかっ!! 今までだってもっと恐ろしい難関に対面してはそれを乗り越えてきたのだっ!! 今更こんな威圧に負けてたまるかっ!!

 

 さあ行くぞっ!! 俺達の力を見せてやるっ!!




【今回名前が出た動物】

ギガノトサウルス
ダエオドン(豚)
ティラコレオ(レオ君の同種)
テリジノサウルス(テリ君)
ティラノサウルス
ユウティラヌス(ユウキィ君)
ダイアウルフ(狼)
アルゲンダヴィス(アルケン達)
カストロイデス(ビーバー)
ギガントピテクス(島で見かけたゴリラ)

メガピテクス(巨大ゴリラ・青のオベリスクボス)
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