ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第376話

七百七十七頁目

 

 どうやらギガノトを連れてきたのは大正解だったようだ。

 この巨大なゴリラが呼び出す敵はあの雪山に居た雪男ほどではないが、ちょこまかとこちらの足元をうろつき回り器用に攻撃を仕掛けてくるのだ。

 おまけに巨大なゴリラの咆哮で無限に現れるようで、厄介なことこの上なかった。

 

 しかしギガノトの攻撃範囲ならば問答無用で一網打尽に出来てしまう……微妙に噛みつける範囲が狭いティラノや体格の問題から一度に攻撃できる数の少ない他の子達ではこうはいかない。

 おかげでほぼ親玉個体である巨大なゴリラだけを集中攻撃することが出来てしまう。

 後ろからユウキィ君が皆を勇気づける咆哮を上げて、勢いづいた皆で一斉に巨大なゴリラを叩きひっかき組み付き齧りつくのだ。

 

 そんな余りに凄まじい勢いで繰り出している攻撃の前に巨大なゴリラはあっという間に全身を赤く染め上げていくが、それでも非常に頑丈で中々倒れないどころか激しく両手を振り回し反撃してくる。

 このせいで高品質サドルを付けていない上に前線に立っているティラノは物凄く苦しそうにしているが、それでも豚が定期的に回復オーラを放ち傷を癒してあげているから何とか倒れずに済んでいる。

 しかし逆に言えば高品質サドルで固めているギガノトは軽い怪我で済んでいて、この調子ならば暴走する心配はなさそうだ。

 

 また同じく高品質サドルを付けているテリ君達に関してはケーキを食しているためかほぼ無傷状態で大暴れし続けている。

 こうしてみると高品質サドルを用意できない子は連れてこないほうが良かったかもしれないが、今更そんなことを言っても始まらない。

 とにかく今回は全力で叩いて戦いを終わらせるのが先決だ……そう思いより苛烈に攻撃を仕掛けようとギガちゃんに指示を出しその頭に食らいついて……ゴキリと何かが砕く音が響き渡った。

 

 そして巨大なゴリラは少しの間静止して、次に軽く身体を震わせたかと思うと、大きな物音を立てながらその場に崩れ落ちた。

 それでも少しの間は念のために攻撃し続けたが、もうこいつが立ち上がることはなかった。

 ……勝ったのか? こんなにあっさりと……本当に?

 

 今まで洞窟の攻略に苦労していた分、俺は内心何匹かの仲間を失うことを覚悟はしていた。

 それなのに傷付いている子こそいるが誰も死なないうちに討伐できてしまったことに喜びよりも困惑を感じてしまう。

 オベリスクの試練とはこの程度のものなのだろうか……まだ何かあるのではないのか……そう思うとどうしても気が抜けないでいたが、ふいに俺達の鉱石が光り出し……そこで俺達の目の前に今倒した巨大なゴリラのホログラムが浮かび上がった。

 

 メガピテクスというらしいそいつの情報が描かれているそのホログラムは少しの間浮かんでいたかと思うと、まるでこの敵を倒した証明とばかりに俺達の鉱石の中に吸い込まれるかのように消えて行った。

 どうやら本当に俺達はこのオベリスクの試練を越えたようだ……いまだに信じられないのだが実際に帰還のためのワープに準備するように告げているのかカウント弾も始まっ……ん?

 

 何か聞こえる……このボスの体内から……いや体毛に紛れて……これは、なんだ?

 この不思議な輝きを放つ鉱石……いやエネルギーの結晶体……よくわからないがとても暖かくて心が安らぐこれは……まるで子守唄でも歌っているかのような鼓動が伝わるこれは……何だ?

 よくわからないけど、きっとこれはとても大切なものだ……多分この島で一番の宝物……そう俺は直感的に確信するのだった。




【今回名前が出た動物】

ギガノトサウルス
メガピテクス(巨大なゴリラ)
ギガントピテクス(巨大なゴリラが呼び出す敵)
ティラノサウルス
ユウティラヌス(ユウキィ君)
ダエオドン(豚)
テリジノサウルス(テリ君)
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