七百七十九頁目
何故だろうか、早く緑のオベリスクに挑みたいのに皆が受け入れてくれない。
事前に決めた様にナマケモノを増やしてからにしようとか、せめて高品質サドルを援護要員分は用意してからにしようとか……それだといつになったらこの物質を集めに行けるか分からないじゃないか。
尤もオウ・ホウさんが前に言っていた通り予備のオベリスクをかき集めに行くのは賛成だ……多分先達者達がこの試練を乗り越えた後なのに俺達も起動出来た辺り、何度でもあいつらとは戦えるはずだ。
そしてそのたびにこの物質も手に入る可能性があるのだ……少しでも多くこの物質を手に入れられるのならば、それに越したことはないだろう。
だけどそんな俺の考えを何故か皆は余り賛同してくれず、むしろ訝しそうだったり心配そうに見つめてくる。
特にメアリーは疲れていると決めつけて少し休めと何度も訴えてくるし、他の二人ももっと慎重に動くべきだと訴えてくる。
そんな彼らはこの物質を見てもそこまで気にならないようだ……こんな他に二つとない魅力的な物を前に、どうしてそんなに無関心でいられるのか不思議でならない。
正確にはオウ・ホウさんだけはこれが特別な代物だとは認めているようだけれど、どうやら過去に戦場などで見た妖刀のような危険な存在と同じ雰囲気を感じるのだと変に警戒してしまっているようだ。
だから俺に余り近くに置いておくべきではないと言ってくるのだが、こんな凄い物を無くしたら大変なことになる。
その価値がわからない彼らには管理を任せておくわけには……い、痛っ!?
あ、ああ……だ、駄目だな俺は……俺のことを心配してくれている相手にこんなことを思って……。
それに確かに俺はちょっと変になっているような……で、でもこんな凄い物を見つけたら高揚してテンションが上がるのも無理はないと思うんだけどなぁ。
七百八十頁目
……やっぱりもう我慢するのも限界が近い。
その気になればこの物質を更に手に入れられるというのに、もっと戦力が整うまで待たなければいけないなんて馬鹿げている。
前回のことを思えば今の戦力でも十分行けるはずだ。
何せ次に挑むのは緑のオベリスク……色の法則からしてもこいつが一番最弱のはずなのだ。
青いオベリスクの巨大ゴリラを倒せた以上はこんな奴に負けるはずがない。
そうだとも、今すぐ挑むべ……い、痛っ!?
ふ、フローラ……心配してくれるのはありがたいけど、でもこの物質を集めることが君を蘇らせることにも繋が……い、痛っ!?
な、何でそんなに……じ、自分が生き返るより俺の身を案じてくれているのかい?
でも俺は早く君に会いたい……君を傍で感じたい……この物質から与えられる温もりを感じていた君のを思い出しそうになるのか、君を失った喪失感がどんどん強くなってるんだ。
だからこそこの物質が与えてくれる温もりと子守歌という安らぎが手放せなくなってきているんだ……今ではこれに触れている時だけが不安も何も忘れられるんだ。
ああ、急ごう……痛っ……フローラの気持ちを無駄にしな……痛っ……にも早くこれを集めて君も安心させてあげないと……いっっ。
皆には悪いけど……っ……一足先に……っ……ど、動物を運搬するだけってことにし……っ……い、行こう……俺一人で緑のオベリスクに……っ。
【今回名前が出た動物】
メガテリウム(ナマケモノ)
メガピテクス(巨大なゴリラ)