七百八十八頁目
気分は最悪だし自己嫌悪も止まらないけれど、ようやく少しは落ち着いてきた。
もうあんなエレメントなんかに心を惹かれることもない……だけどその為の代償は大きすぎた。
あの時、暴走している俺を止めるためオウ・ホウさんは握手している隙に前もって手に入れていたスタンロッドで俺を気絶させてきたのだ。
その上でこのままでは目を覚ました後に俺が一人で突撃しかねないからと自分が……冷静でない俺が行くよりはずっとマシだと言って一人で赤いオベリスクに……一番の難関で最も気を付けなければならない場所へ乗り込んでいってしまった。
もともと自分が頼んだことだからと……この島の攻略に乗り気ではなかった俺とフローラを巻き込み結果として二人を不幸にしてしまったことをずっと気にしていたから俺だけは死なせるわけにはいかないと……そんな風に思っていただなんて全然気づかなかった。
そんな素振りも見せずに隠して……やっぱり俺なんかより遥かに立派な人だったのに……それに長年の経験からかオベリスク二つの攻略がそこまで難しくなかったからこそ残りのここだけはヤバいと本能的に感じ取っていたようだ。
だからこそ付いて行こうとするメアリーとマァも残して、向こうの情報を余すところなく伝えようと無線機を手に一人で……ドラゴンという伝説上の生き物に挑んでしまった。
そして……俺が目覚めた時には全て終わっていて、泣き崩れているメアリーと同じ様に涙を流しながら悔しそうにオベリスクを睨みつけているマァが無線機の傍で佇んでいた。
その無線機は雑音を拾うばかりで向こう側に情報の発信者が存在しないことを如実に表していた。
七百八十九頁目
マァもメアリーも俺を責めなかった……全てはエレメントのせいだと分かっているからと……だけどその気持ちが逆に辛かった。
俺がもっと冷静だったら防げたことなのだ……あれだけ慎重に行動すべきだと何度も何度も自分に言い聞かせていたというのに何と愚かな真似をしてしまったのか。
そのせいで大事な仲間をまたしても失ってしまった……全部俺のせいだ。
本当に自己嫌悪が止まらない……今すぐにでも自分で自分を殺してしまいたいほどに……だけどそんなわけにはいかない。
俺を庇ってくれたオウ・ホウさんの意志を無駄にしないためにも、俺が何も為さずに死ぬわけにはいかないんだ。
それに鉱石さえ回収出来ればフローラと同じくオウ・ホウさんのことも生き返らせられる可能性がないとは言えない……それなのに俺が諦めてどうするんだっ!!
しっかりしろ俺っ!! オウ・ホウさんの意志に報いるためにも……何より右手首で今も温かい温もりを与えるように仄かに光り続けているフローラの気持ちだって無駄にしてなるものかっ!!
何が起きようと何度失敗しようと……俺は絶対に生きることを諦めないっ!!
そして歩みだって止めるものかっ!! ちゃんとこの島の試練を全て乗り越えてこの島の謎を解き明かして……二人の気持ちに報いるんだっ!!