七百九十頁目
あの日からずっとオベリスクを睨みつけているマァと拠点で泣き崩れているメアリーに頭を下げて協力を仰いだ。
するとマァは即座に頷いてオウ・ホウさんの敵を取りたいと言ってくれたけれど、メアリーはもうこんな危険なことは止めようと縋りついてきた。
それでもフローラの一件を例に出してあの鉱石を回収さえ出来ればオウ・ホウさんを生き返らせられるかもしれないというと、物凄く悩みながらもあの赤いオベリスクの攻略までは手を貸してくれることになった。
もちろん赤いオベリスクを攻略して全てが終わるわけでも問題が解決するわけでもない以上は、そこで立ち止まるわけにはいかないのだが……まあそれは終わってから考えればいいことだ。
とにかく今はあの赤いオベリスクの向こうにいるドラゴンを……冷静さを欠いていたとはいえ俺なりに揃えられる最高戦力であるギガノト軍団を引き連れたオウ・ホウさんですら敗北するほどの相手にどう立ち向かっていくかだけに集中しよう。
そう思った俺はとにかく少しでも情報が欲しくて、俺が気絶した後の事……特に無線機を通じてオウ・ホウさんと何を話し合っていたのかを尋ねてみた。
すると二人は当時のことを思い出して悲し気に俯いたり涙を流したりしながらも、ぽつりぽつりと覚えている限りのことを話し始めるのだった。
まずオベリスクの起動時に立ち上がってきたホログラムには転移先の風景が映し出されたのだが、これが何とマグマの流れる火山帯のような場所だったそうだ。
実際に転移したオウ・ホウさんはかなり暑苦しそうであったが、高品質の頭と胴体を含んだギリー装備で十分に耐え凌げる温度だと語っていた。
しかし転移した先の乾燥した地面は足場が悪かったが、中央に迎えばかなり広めの空間が合ったそうなのだが、そこを囲うように赤くドロドロとしたマグマが川のように流れていたという。
一応そこへ渡るための橋のような足場はあったそうだが、ギガノトで渡るのは中々神経を使う細さだったという。
だからオウ・ホウさんは最初の場所から動かずに戦うことも検討したのだが、何故か周りを見回しても倒すべき相手が見当たらなかったという。
青いオベリスクの時とは違い平坦な場所だから死角なども出来るはずがないのに……と訝し気な声を発していたオウ・ホウさんだが不意に何かが頭上から聞こえると言ったかと思うとすぐに叫び声と共に何かが爆裂するような轟音が無線機を通して伝わってきた。
驚くマァとメアリーだが、少し遅れてオウ・ホウさんが空に飛んでいると……体型こそ細長い訳ではないがこれは本当の龍ではないかと呆然と呟く声が聞こえてきたという。
そいつが翼で空を羽ばたきながら口を開きこちらに向かって何度も火球を放ってきているそうで、まずこれを避けるだけで大変だったそうだ。
また反撃しようにも空を飛んでいては動物達では手も足も出ない……だから仕方なくオウ・ホウさんはギガノトから一度降りて、その巨体を立て代わりにして持ち込んだ高品質の弓矢で何度も頭を射抜いてやったらしい。
すると何やら苛立った様子でこちらを睨みつけたかと思うと、翼をひるがえしてドスンと音を立てながらその場に着地してきたという。
そしてギガノトにも勝るとも劣らない巨体でドタドタとこちらに向かって飛び掛かってきたそうで、すぐにオウ・ホウさんはギガノトに乗り直して正面から迎え撃とうとした。
しかし少しぶつかり合ったところで相手が大きく息を吸い込むのを確認したオウ・ホウさんは、長年の経験からヤバいと判断して咄嗟にギガノトから飛び降りてドラゴンの股下へと転がり込んだそうだ。
そして……その感はどうしようもなく正しかった……何故ならそこでドラゴンは口から圧倒的なまでの熱量を誇る炎のブレスを吐き出し正面にいる生き物全てを焼き払ったのだから。
【今回名前が出た動物】
ギガノトサウルス
ドラゴン