八百六頁目
あんな目に合わせてきたエレメントだけれど、やっぱりその性能は凄まじいものがあった。
実際に作成したTEKレプリケーターはエレメントをエネルギー源としてようやく起動するものだけれど、まるでSF映画に出て来そうな巨大なリングが回りながらその中心に光が集まっている。
そして左手首を近づけると鉱石を通してホログラム風にこれで作れるものの一覧が浮かび上がってくるのだが、どうも作業机から旋盤で作るものまでこの鉱石を通して思いついた物ならば殆ど何でも作れる様子だった。
また素材を持ち込むとまるで吸い込まれるように中へと消えていくのだが、この際に設計図を入れると高品質な物もしっかりと作れるようになるのだ。
ちなみに必要な素材が足りていないモノに関してはホログラムが薄暗くなっていて、しっかり足りていると作れるよと教えるかのようにそのホログラムははっきりと光って見えるのだ。
その光っているホログラムは右手で動かすことが出来て、それをTEKレプリケーターに入れ込むようにすることで加工が始まるのだが、その製作時間も人の手で行っていた頃とは比べ物にならないぐらい速い……というかほぼ一瞬で終わってしまう。
挙句の果てに内部に入れれる素材の数もかなり多いため、今まで苦労していた高品質な製品もあっという間に完成させることが出来てしまった。
これで装備も整ったことだ……ついにドラゴンに挑む時がやってきたのかもしれない。
……しかし肝心のエレメントを使った加工品はどこに……などと考えながら浮かび上がるホログラムを動かし一つ一つ確認していったところ、ふいに見慣れない製品が見えてきた。
これは……エレメントを部品にした建材……む、無駄に豪勢というかなんというか……多分金属以上に頑丈なんだろうけれど、これで作られた家に住みたいとは思えないなぁ。
他には……こ、この未来人が着ていそうな装備はなんか凄そう……だ、だけどやっぱりエレメントが足りないし、エレメントを原料に作ったものを着込むのもまた暴走させられそうで心配というか……ま、まあこの辺のは作るかどうか後で考えるとしよう。
八百七頁目
ついに支度は整った……準備も万全だ。
全員がポンプアクション式のショットガンを手に持ち、その身体は下手な金属の鎧より遥かに硬い高品質なギリー装備で固められている。
もちろん連れて行くユウキィ君の同種と豚の♂♀ペアに主力となるギガノト六匹とテリ君の同種十匹の全員も高品質なサドルを装備済みだ。
更に人間にはメディカルブリュー、草食にはケーキ、豚にはあのペットフードモドキを可能な限り持つようにしている。
しかしこれで本当に勝てるのかまだ一抹の不安はある。
何せ俺達は実際のドラゴンがどれほどのものなのか……そのブレスがどこまで恐ろしい物なのか直接は見ていないのだ。
何よりあのオウ・ホウさんですら勝てなかった相手なのに果たして俺達で勝てるかどうか……いや、弱気になるなっ!!
絶対に仲間を失わずに勝利してオウ・ホウさんの鉱石を回収してみせるっ!!
だからあからさまに怯えて震えているメアリーを勇気づけるように話しかけて、落ち着くまで待ってから機械のスイッチを入れることにする。
……本当はこんな怯えている彼女を連れて行くのはどうかと思ったのだが、一人取り残されるのは嫌だと縋りつかれてしまったのだ。
マァはオウ・ホウさんの敵を取る気が満々だし、俺を一人で送り出すのは駄目だというし……まあ確かに人数は多い方がいいけれど……。
……絶対に生きて帰るつもりだけれど、万が一全滅した時のことを思ってこの日記は置いて行こう。
この島に来てからずっとどんな窮地でも持ち歩いていたけれど、もしもの時にこれまで失われては俺達がこの島に居たという証も無くなってしまう。
先達者様達の日記程ではないけれど、その時にこれが誰かの役に立てるよう……そして俺達がこの島で生きていたことを知ってもらうためにもこの日記は残さなければ……。
もちろん生きて帰れたらすぐにでも回収して再び日記に書いていくつもりだ。
さあメアリーも落ち着いたことだし、そろそろ行こう……首を洗って待っていろドラゴンっ!!
【今回名前が出た動物】
ユウティラヌス(ユウキィ君)
ダエオドン(豚)
ギガノトサウルス
テリジノサウルス(テリ君)
ドラゴン