八百十二頁目
ドラゴン戦で書いた遺書めいたメモ帳を挟むついでに、ふと思いついて時間のある時に日記を読み返してみることにした。
この島に来てからずっと細かい出来事を含めて書き連ねてきたこれを読み返せば、もし忘れていることがあっても思い出せるはずだから……。
そう思って読み返してみると、俺は思っていたよりずっと長くこの島にいたような……想像以上に思い出が出来ていることに気が付いた。
特にフローラを含めた仲間達との思い出は別格だけれど、それ以外には最初期の混迷混乱している状態からたった一人で奮闘して少しずつサバイバルに慣れていくところなど読み返していると感慨深さを感じてしまう。
本当にあの頃は身体も心も貧弱で……それがよくぞまあここまで成長して生き残って来れたものだ。
今では雑魚扱いできるエリマキトカゲやカモメ、それにピラニアに絶望感を抱いていたあの頃の俺にドラゴンの脅威を語ったらどんな顔をするだろうか?
……絶対に信じないかもしれないなぁ……何せあの頃の俺は重火器どころか手作りした石の槍で初めて生き物を倒して狩りの喜びがどうとか言っていたぐらいだ。
あの時の想いは未だにはっきりと思い出せる……実際に使った石の槍を未だにお守り代わりにずっと携帯しているぐらいだ。
すぐに使わなくなってしまったが未だに一度も手放したこともないこの槍……何度も拠点を失い道具を失いながらもこれだけは傍に会った。
それこそこの日記と双璧を為すぐらいの最古からの相棒だ……尤もこの日記すら今回の件ですら一度は置いて行ったのだから、そう考えると何となくずっと携帯している石の槍に親しみすら沸いてくる。
まあ鉄製の武器から重火器まで作れるようになった以上、今後とも使うことは無いだろうけれどこれからもお守り代わりに携帯し続けて行こうと思う。
そんな風に細々としたエピソードに懐かしさを抱きながら頁をめくっていた俺だが、ふと途中のあるところで手が止まった。
それはまだフローラと出会う前、ちょうど飛行生物を仲間にして行動範囲が広がってきたころに確認した……この島の中央にある火山の中で見つけた不思議な扉について記載されている頁だった。
……そうだ思い出した……今までも何度か希少な素材が取れるから立ち寄ったことがあったけれど、もう見慣れてしまって意識することも無かったけれどあの扉の手前にもオベリスクのような制御盤があったではないか。
ただしそこに空いている穴はアーティファクトの形ではなく……オベリスクの試練で戦う生き物たちの頭部を模しているように見えていたことも……。
そして俺の手元にはそれぞれの相手を倒した際に手に入れた頭部を模したトロフィーが……もしやこれをはめ込むことであの扉が開かれるのだろうか?
【今回名前が出た動物】
ドラゴン
ディロフォサウルス(エリマキトカゲ)
メガピラニア(ピラニア)
イクチオルニス(カモメ)