十三頁目
ようやく自宅が完成した、わらの家だ。
昔話では怠け者が作ったと言われているが、実際に作った身としては十分すぎる重労働だとしか思えない。
まあ一日でできる家という時点でだめかもしれないが、一応木組みが入っている以上少なくとも動物の吐息では壊せないだろう。
後はどうにかして火を焚くことができれば夜への対策としては完璧だが……今はとにかく眠くて眠くて仕方がない。
人一人が横になれる程度の小さい間取りの家に入り、紐で括り付けたドアを閉める。
ああ、わらの匂いと柔らかさ、適度に差し込めるポカポカ陽気が誘ってる。
もうだめ……おやすみなさい……Zzz……Zzz……
十四頁目
目が覚めたら元の自宅に戻っていた……なんて都合のいいことは起こってはくれなかったようだ。
まあこの家も自分で作り上げた以上は自宅なのだが、やはりなかなか実感はわいてこない。
尤も外に出て眺めてみると、こんなものを自らの力で作り上げた感動はふつふつと湧き上がってくる。
時間がある時にもう少し拡張して、いずれはちゃんとした家に見えるようにして見せる。
そう決意を固めながらとりあえず食事のために茂みへ果実を取りに向かう。
しかし直接肌に草が当たっている現状は危険かもしれない、何かで擦って傷でもできて菌が入ったりしたら……
そろそろ服を作るべきかもしれない、いやその前に火を起こす方法を考えるべきだろうか?
十五頁目
油断していたっ!! ここは危険な島だというのになんと迂闊なのかっ!!
果実をとるのに夢中で海岸から離れて……襟巻を広げたトカゲに毒液をぶっかけられるとはっ!!
畜生目をやられた、何もかもがぼやけて見えるっ!!
とにかくトカゲに背をむけて走る、走る、走る……巨大な何かがのそのそと動いているのが視界に入る。
もしあれが肉食ならお終いだが……目が見えない以上もう祈るほかない。
どうか襲ってきませんようにと願いながらその獣の脇を走り抜け、水辺へとたどり着いて顔を洗う。
もしもこのまま目が見えなくなったら……恐ろしさの余りに震えが止まらない。
それでも何度も洗っているうちに視力は元に戻ってくれた、しかしやはりこの島では臆病なほど慎重に動く必要がありそうだ。
後ろを振り返れば先ほどのトカゲがトリケラトプスを襲おうとして踏みつぶされている、あいつも獲物ぐらい慎重に選べばいいのに……
十六頁目
やはり火だ、野生動物は火を嫌うはずだ。
それは太古の恐竜でも同じことだろう、僕はどうにかして火を起こす方法を見つけなければいけない。
さてどうしたものか、木を擦るのは無理だった……じゃあ他にどうすればいいのか?
火種さえ確保できれば燃えやすそうなわらもあるし、木材も一緒に燃やせれば焚火のように長時間持つだろう。
それどころか上手くやれば松明替わりにして持ち運ぶこともできるはずだ。
何より一度起こしてしまえば火を絶やさない限りそれ以降はずっと楽に火を確保できるようになる。
だからこそ火種が必要だ、火種、火種だ……考えろ……考えるんだ……
【今回登場した動物】
ディロフォサウルス(襟巻を広げたトカゲ)
トリケラトプス