八百十四頁目
早速見つけたネルヴァ氏の日記を拠点へと持ち帰り内容を確認したのだが……色々とショックが大きい。
まるで錯乱状態で書いたかのように自分を取り巻く環境への絶望がつらつらと書かれていたのだ。
しかも仲間も何もかも全てを失ったのに、この場所を調べ尽くしても何も見つからなかったとも書かれていて……。
日記の置いてあった場所と言い、ひょっとしてネルヴァ氏はこの洞窟を攻略したのではないだろうか?
その最中で仲間達を失い、挙句に何も見つけることが出来ずに失意のままこの場所に戻ってきてこの日記を書き上げたとするのならば色々と納得がいくけれど……もしそうだとしたらこの場所の探索には全く意味のないことになってしまう。
。
何よりネルヴァ氏がこの洞窟に挑んだということはあのドラゴンをも倒せるだけの戦力を保持していたはずだ……それでも何も残らないほど打ちのめされるなんて信じられない。
偉大なる先達者達の一人がまさかこんな末路を迎えているなんて……まあこの日記の続きがないとも限らないのだけれど……。
八百十五頁目
少しずつマァの体調は良くなってきているみたいで、最近は身体を起こしても痛みに顔を引きつらせることも無くなり笑顔を浮かべることも増えてきた。
それでもメアリーはマァの傍から離れようとはせずに甲斐甲斐しくお世話を続けていて、今回見つけた日記を渡した時もわざわざ二人で並んで読み上げてあげるほどだった。
それはまるで子供に絵本を読んであげる母親のよう……尤もマァは実際にまだまだ子供だし、メアリーは恐竜たちのお世話をするうちに母性愛が強くなっているためかもしれない。
ただ日記を読み終えた後で今後の予定について話し合おうとして、そこで問題が発生してしまった。
メアリーも……そしてマァまでもがもうここまでにしようと……これ以上危険な真似はしたくないと言い出したのだ。
どうやらマァにとって今回ドラゴンの炎に焼かれて生死の境をさまよう程の衝撃を受けたせいでかなり精神的に参ってしまったらしい。
実際に当時のことを思い返しているのか、会話の中でドラゴンという単語が出るたびに顔色を変えてブルリと怯えるように震えあがってしまうほどだ。
元々安定を望んでいたメアリーもそんなマァを見て心を痛めているようで、俺にもこれ以上無茶な真似はしないでここで落ち着いて暮らそうというのだ。
……正直言って俺もドラゴンとの戦いでこの島の試練の恐ろしさは身に染みている……それにこの日記に書かれている内容も心に響いてはいる。
だけどここで屈してしまってはこれまでの苦労も犠牲も無駄になってしまう。
何よりフローラとオウ・ホウさんだってこのままだ……そんなことは認めるわけにはいかない。
確かにあの洞窟は危険な場所だろうし、或いは俺達だって完全に武装していってなおネルヴァ氏のようになにもかも失う羽目になるかもしれない。
だけど俺は誓ったんだ……絶対に立ち止まったりしないと……せっかく二人が俺をここまで生き永らえさせてくれたのに、のうのうと俺だけ平穏を満喫するわけにはいかないんだ。
それこそ平和に街を作って暮らしていくとしても皆が揃ってからだ……その為にもあの洞窟の奥に二人を生き返らせれる可能性がある以上は挑まないわけにはいかないんだっ!!