八百十六頁目
断固として洞窟へ挑もうとする俺に対して、この場で平穏に暮らしていこうという二人の意見は平行線のまま交わることはなかった。
悲しいことだけれど二人の気持ちは分かるし、何より命懸けの危険な行為には変わりがないのだから仕方がない。
この調子だとあの洞窟へは俺が一人で挑むことになりそうだ。
……いや、そうだったね……ごめんごめん、もちろんフローラも一緒だ。
俺が携帯している弓矢に結びつけてあるオウ・ホウさんの鉱石も輝いている……どうやらこの三人であの洞窟を攻略することになりそうだ。
後は動物だけれど、これは連れ込めるだけ連れ込むつもりだ。
ただオベリスクのように起動することから色々と制限があるかもしれないけれど、こればっかりは調べる余裕がない。
何せオベリスクの時は起動に必要なアーティファクトは毎回使うたびに消失してしまっていたのだ。
つまり今回使うボスのトロフィーも一度使ったら消失して、再度起動するには新たにオベリスクの試練をやり直して集めなければいけなくなる可能性が高いのだ。
青と緑はともかく、赤いオベリスクのドラゴンだけはもう二度と挑みたくないし……マァとメアリーが居てギリギリだったのだから次は勝てるとも思えない。
……そんなドラゴンよりも難易度が高そうな洞窟へ俺一人で挑むなど自殺行為かもしれない、だけど絶対にやり遂げて見せるとも。
それでも念のため、もしも俺が成し遂げれなかった時に備えて無線機を持ち込んで事細かに洞窟の内情は二人に伝えておこうと思う。
オウ・ホウさんがそうしてくれたように、そうやって情報を残しておけば将来的に二人が……或いは後からこの島に現れた人々の攻略に役立つかもしれないのだから……。
そう言えば結局、フローラが亡くなってから新たな人が現れなくなった原因はわからないままだ。
これもこの洞窟の攻略する過程で分かるのだろうか……それともこの島のシステムとは別の問題なのだろうか?
八百十七頁目
ようやくマァが動けるようになり、彼に付き添う形でメアリーも外に出るようになった。
そんな二人は相変わらず洞窟に挑もうとする俺を説得しようとしてくるが、同時に洞窟の攻略に必要な物資や動物などの準備だけは協力してくれている。
尤も本質的には自分たちがこの場で安全に暮らすための戦力の確保を兼ねての行いのようだけれど、それにしてもありがたい限りだ。
何せドラゴン戦で大量の物資と戦力を失った直後なのだから、ここから俺一人で支度をしていては例の洞窟に挑むのは遥か先の話になってしまうだろうから。
ただ二人が……というか正確にはメアリーがマァに引っ付いて離れないせいで完全に分業していた頃より効率は下がっているのだが、まあそれだけドラゴンの炎から自分を庇ってあんな目に合わせてしまったマァに負い目を感じているのだろう。
……だけどそれだけとは思えないほど傍にいるような……余りに密着され過ぎて困っているマァに時折、妾の唇を奪ったのだからどうのこうのと呟いているように聞こえるけれど……ど、どう思うフローラ?
……そのチカチカっとした光り方は初めて見るなぁ……うぅん、何て言ってるのか物凄く返事が気になるなぁ。