八百三十四頁目
運搬用のケツァ2君の背中に落ちるよう調整しつつ野生のケツァ君を眠らせることができた。
これで安全にこの子を仲間にすることができるだろうと判断し、餌を食べさせつつ性別を確認してみると念願の♀個体であった。
今まで仲間にした子は二匹とも♂だったからこの子を無事仲間に出来ればケツァ君も大量に繁殖させられるようになるわけだ。
もちろんこうなると万が一にもこの子を失うわけにはいかないため、わざわざ一度拠点へ引き返すはめになってしまった。
おかげでかなり余計な時間を使ってしまったが、それでもまだまだ日は高く野外での活動を行うには十分すぎる時間だった。
……だけれどマァもメアリーもあの超巨大な草食の体格を思えば耐久性がずば抜けて高い可能性が否定できないと言い、今日は諦めて明日改めて朝早くから挑むべきだという。
確かに理屈としては正しい……上手く弾をあの長くしなる首の先にある小さな頭に当て続けるのはかなり苦労するだろうしそうして手間取った結果、気絶させる前に日が落ちてしまっては全て無駄になってしまう。
ただ二人の感情的には少しでも俺を引き留めていたいという思いの方が強いような気がする……何せこの草食を捕獲したら俺はあの洞窟に挑むと宣言しているのだからなおさらだろう。
そうやって俺の安全を思いやり、何より俺という存在を必要としてくれていること自体は嬉しいのだが……。
八百三十五頁目
深夜にメアリーが俺の部屋を訪ねてきた。
そして改めて俺に洞窟へ挑むような危険な真似をすることは辞めて欲しいと訴えてきた。
ここで暮らしていけばいいと……フローラとオウ・ホウさんのことは危険のない方法で考えて行こうというのだ。
しかしそんなやり方で二人を元に戻せるとは思えないし、何より停滞を許さないこの島のシステムを思えば俺まで挑むのを辞めたらそれこそ大変なことになりそうだ。
何よりここまで来てあの洞窟に挑むのを辞めたら、それこそ二人の犠牲が無駄になってしまう気がして俺はどうしてもそれを受け入れるわけにはいかなかった。
だけどメアリーは本気なようで、ここで家族として暮らしていこうと懇願して来て……泣きそうな顔をこちらに近づけてきた。
何だか物凄く既視感を感じる光景だ……この島に来たばかりで俺を頼るしかなかったフローラもそう言えば似たようなことをしていた気がする。
……もしもフローラと出会っていなければ、或いはメアリーと先に会っていたら……いやそんなタラレバの話をしても仕方がない。
とにかく俺は結局そんなメアリーの懇願を受け入れることはできなかった。
最終的に悲し気に部屋を去って行った彼女は振り返ることも無く、そのままマァを寝かしつけて来たであろう部屋に帰って行った。
……すまないメアリー……だけど俺はどうしてもフローラに会うのを諦めきれないんだ……その為の可能性があるのならばどんな危険にだって飛び込んでいかないと気が済まないんだ。
【今回名前が出た動物】
ケツァコアトルス(ケツァ君)
ティタノサウルス(超巨大な草食)