ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第426話

七頁目

 

 どうやら何とか上手くいったようだ。

 草食のこいつに敵対されない程度に行く手を遮ることを繰り返し、何とかラプトルに接近させることに成功した。

 すると思った通り肉食のラプトルたちはこいつに襲い掛かり始め、攻撃を受けて逃げ出した瘻付きを追いかけてそのまま樹木から離れていったのだ。

 

 この隙に早速その木からわらと木材を採取して手早く石のピッケルを作りあげると、次いで傍にある砕けそうな岩を叩いて素材を確保していく。

 おかげで早くも目的の物である火打石そのものは手に入れることができたが……どうやらこのあたりの岩はかなり脆いようだ。

 だから砕くと石と火打石と、それ以上に細かく粉砕された砂が出てくるのだがこの砂はどうやら何かの素材として使えそうであった。

 

 ただ代わりにとばかりに、前の島では岩を砕けば鉄の原料になりうる金属鉱石が微量にとはいえ手に入ったというのにそれが全く出てこない。

 ……この調子だと鉄の段階まで道具を進歩させるのはかなりの時間がかかりそうだなぁ。

 

八頁目

 

 とにかくわらに石、木材に火打石とついでに繊維まで序盤に手に入れるべき汎用性の高い素材は、動物からとれる皮を除いて全て揃ったといっていいだろう。

 だからこそ残る皮を手に入れるためにも俺はまず武装を作ることにしたが、今の時点で作れる最高のものといえばやはり弓矢だろう。

 かつてならば素早い動物相手には動きを拘束するための設備も共に用意しなければ使いづらかったけれど、前の島で練習した今となっては動きながらでも大抵の生き物をヘッドショットできる自信がある。

 

 これさえあればそれこそこの辺りに溢れている小型から中型の肉食ですら足の遅い奴ならばもはや敵ではなくなる。

 そう思って弓矢を作り始めるが、そこでふと前の島で最後まで保持していたはずのオウ・ホウさんの鉱石を結び付けた弓が見当たらないことに気が付いた。

 あれがないとオウ・ホウさんを生き返らせられるかわからないため、一瞬焦って周囲を見回そうとするがそこで右手首が久しぶりに傷んだ気がした。

 

 そちらを見れば再び浮かび上がったフローラのホログラムが何かを伝えようと必死に口を動かしているではないか。

 尤も声が聞こえないから何を言いたいのかはわからないけれど、その表情と手ぶり身振りからしてどうやら心配しなくていいと伝えたいようだ。

 このフローラの映像も気になるがこの調子ならばオウ・ホウさんの件も含めてとりあえず問題はないのだろう……なら余裕ができるまではとにかく俺自身の生存を優先しておくことにしよう。

 

 俺が死んでしまえば全てが終わる……逆に言えば何とか生きてさえいれば二人を生き返らせるチャンスはきっとあるはずなのだから……。

 

九頁目

 

 新しく作った弓はかつて設計図から作り上げたものとは比べ物にならないほど粗末なものであった。

 もちろん打ち出す矢の威力もたかが知れたものではあるが、それでもしっかり相手の頭に当てられれば十分すぎる殺傷力を発揮してくれることだろう。

 そう思っていたところへちょうどいいタイミングで、先ほど走り去っていったと思われるラプトルが戻ってきた。

 

 周りに他の邪魔してきそうな動物がいないことを確認してから早速試しとばかりにラプトルの頭部を射抜いてやると、思った通り数発ほどであっさりと倒すことができてしまった。

 もちろん早速死体を解体して素材を確保するのも忘れない……これで皮とついでに食料となる肉も手に入った。

 ここまでくると次にやることはこれらの素材を使って落ち着いて作業できる環境を整えること……つまりは拠点造りだ。




今回名前が出た動物


ユタラプトル
モレラトプス(瘻付き)
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