二十二頁目
自分でも無理だと思いつつ左手の鉱石を眺めていたのだが、まさか前の島では全く思い浮かばなかった新しい道具……ブーメランの作り方を思いつくことができるとはびっくりだ。
まあこれを作るにはこの砂漠でしか手に入らない良質の砂が必要不可欠だから思いつけなかったのだろう。
初めて手にする道具なだけに上手く使えるか不安だったが、前の島で各種武器の練習をしていた経験が生きたようで思ったよりずっと簡単に使いこなすことができた。
何かに当てても当てなくても独特の軌道を描きながら戻ってくるブーメランは脆くて壊れやすい点を除けば再利用しやすくて、今の採取効率が悪い現状では素材を節約できて非常にありがたい限りだ。
これならパチンコのように途中で打ち出す石がなくなる心配をする必要もないし、あの巨体でも頭に当て続ければ何とか気絶させられなくもないだろう。
ちょうど近くに孤立している瘤付きもいることだし、早速試してみることにしよう。
二十三頁目
ま、麻痺を使った方法に慣れすぎて感覚がマヒしていた……拘束できない相手を物理的な衝撃だけで気絶させるのは本当に大変な作業だったのだ。
何度も何度も頭にブーメランを叩きつけて、その攻撃から逃げ惑う瘻付きが遠くへ行かないよう前に回り込んでまた投げて……いったいどれだけ繰り返しただろうか?
ボーラが効くモスラが簡単にできたからと捕獲用の落とし穴風の設備を作るのを怠った自分の愚かさを嘆きたいところだ。
尤も逃げ惑うこいつをそこへ追い込むのは大変だっただろうけど、それにしたってアルケンのような力強い飛行生物がいれば掴んで落とせば一発だというのに面倒なこと極まりないものだ。
早くあの島にいたときのように装備も仲間も充実させたくてたまらない……気持ちばかりが焦って仕方がないが、とにかく目の前の作業一つ一つに集中しよう。
千里の道も一歩からというように、便利な動物の捕獲の前にまずは近くにいる簡単な奴から順に……って何してやがるラプトルぅうううっ!?
そいつは俺の獲物……あぁっ!? や、やめてぇえええっ!! そこまで追い詰めた個体を殺さないでぇええええっ!!
二十四頁目
ラプトルを弓矢で処理する前に瘻付きはお亡くなりになってしまった。
せっかくの努力が水泡に帰したことで流石にショックを受けるが、もう過ぎたことを悔やんでも仕方がない。
とりあえずラプトルと瘻付きの死体から皮と肉を剥いで素材を確保して次に……と思ったところで、瘤付きを叩くたびに体の側面から大量の液体が流れ出てくることに気が付いた。
どうなっているのか不思議であったが、よくよく見れば水が流れ出るたびに背中の瘤が小さくなっている……どうやらこの瘤の部分に水をため込んであるらしい。
恐らくこの砂漠の環境で食事のために水辺から離れなければいけない時のために水を貯めておけるようになっているようだ。
そうして貯めこまれている水が叩かれることで側面に空いている穴から出てきているようだ……これは中に溜め込んでおいた水が腐ったり或いは異物が混じってしまった時のような非常時に排出するための穴なのだろうか?
……或いは単純にこの箱庭の生き物は人間が利用するために作られていることを思えば、それこそ水筒代わりにできるように設計されている可能性が……いやでも、透明度はともかくなんかちょっと臭うし……飲めなくはないと思うけど……絶対不味いだろうなぁ。
今回名前が出た動物
モレラトプス(瘤付き)
リマントリア(モスラ)
アルゲンダヴィス(アルケン君)
ユタラプトル