ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第436話

三十六頁目

 

 悲鳴も動物の鳴き声も何もかも聞こえなくなり、戻ってきた静寂から何もかも終わってしまったのだとわかってしまう。 

 くそっ!! 電灯みたいな遠くまで照らせる道具があれば見つけられたかもしれないのに……

 せめてアルケン君がいてくれれば、声を頼りに向かって強引に助けに向かうことだって……

 

 いや最悪はペヤラちゃん程度のスタミナがある子がいれば、松明をサドルに刺して探しに行って敵の注意を惹くぐらいのことは……

 あれもないこれもないそれもない……今の俺は無力すぎるっ!!

 悲鳴が聞こえるほど近くに人がいたというのに、松明を片手に狼の背に乗って探せる範囲は狭すぎて間に合わなかった。

 

 ……助けられなくてごめんなさい……何もしてあげられなくて申し訳ありません。

 せめて明日明るくなったら貴方の遺体、は残ってないかもしれませんが手首に埋め込まれている鉱石だけでも探してみます。

 

三十七頁目

 

 やはりのんびりとはしていられない。

 この過酷な砂漠に無防備な状態でやってくる人達を助けるためにも、一刻も早く物資と戦力を整えていき文明レベルを上げていかなければ。

 そのためにも寝る間も惜しんで……睡眠そのものは大事だから徹夜はしないが、とにかく可能な限り今作れるものは作っておこうと心に決める。

 

 尤も今の時点でかなり作ってしまったし、鉄資源は元より作業机も用意できていない現状で他に作れるものといえば……焚火や篝火の燃えカスである木炭と発火粉を混ぜて作れる火薬ぐらいだろうか?

 これを作ったところでやっぱり鉄資源すら確保できていない現状では重火器も作れないため無駄に保管スペースを食うだけかと思って後回しにするつもりだったが、他にできることもない以上はとりあえず作れるだけ作っておこう。

 その上でふと先ほどブーメランのように、この砂漠ならではの火薬を使った原始的な何かの作り方を思いつけるかもしれないことに気が付き早速左手首の鉱石を眺めてみた。

 

 すると予想通り俺の脳裏にこの火薬を使った原始的な使い捨てにできる照明銃の作り方が……あぁ……そうだったっ!! 広範囲を照らし出せるコレの存在も完全に忘れていたっ!!

 フローラが作ったものだったから思い出せなかったんだろうけど……これさえあればさっきの人を見つけられたかもしれないのに……俺は大馬鹿だっ!!

 

三十八頁目

 

 また太陽が顔を出したばかりの早朝はまだ温度が上がりきっていないこともあってか砂漠とは思えないほど快適な環境であった。

 それでも爽快な目覚めからは程遠い陰鬱な気分を抱えながら、俺はモスラにまたがりウルッフを追従させながら拠点を後にした。

 昨夜救えなかった人のことがしこりの様に心の中にこびりついている……何せ自分の準備不足がなければ或いは助けられたかもしれないのだから。

 

 だからせめて早めに遺体なり鉱石なりを回収してあげようと、周囲が見渡せる程度に明るくなった時点で探そうと思ったのだ。

 しかしこれがまた中々見つからない……鉱石が小さいから砂に埋もれてしまっているのか、それとも予想よりずっと遠くで襲われていたのかもしれない。

 それでも拠点付近を重点的に捜索してみるがやはり遺留物の一つも見つからない……どうやら昨夜の犠牲者は少なくとも俺の拠点まで人の足で逃げ切れる程度の距離で襲われていたわけではないらしい。

 

 つまりそれは俺が照明銃を作れていたとしても助からなかっ……やめよう、例えどうだったとしても俺が何もできなかった事実は変わらないのだから。




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン君)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
リマントリア(モスラ)
ダイアウルフ(ウルッフ)
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