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なんで……どうして手渡しで仲間になってくれないんだぁぁぁ。
こ、こんな可愛い生き物を気絶させなきゃいけないなんて……しかも下手に麻酔矢で打ったら死んでしまいそうだからこん棒で殴る必要があるだなんて野蛮すぎて心が痛むぅ。
何よりこの手の可愛い生き物をこん棒で叩いていると前の島でのトラウマがぁ……ペンギンちゃんを撲殺して回った記憶が思い出されて猶更良心がぁぁ……あれ? そういえば、ペンギンからはものすごく希少で重要な有機ポリマーを回収できたよな?
……この可愛い生き物ももしかしたら……い、いやまさかなぁ……けど確か有機ポリマーは熱に強いギリー装備を作るための材料にもなったはず……。
いやもし有機ポリマーが取れなかったとしても希少な素材が取れる可能性がないとは言えない……そもそも前の島に存在しなかった初めて見る生き物なのだからひょっとしたら……もしかしたら……まさかとは思うけど……きっと……恐らく……多分…………試す価値は………………………………
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それなりの量の石をほんの僅かなセメントでもって形を整えて固めて……よし、これで見た目だけは立派なお墓が作れたな。
その表面に慰霊の言葉を刻んで……どうか安らかにお眠りください。
ふぅ、これで少しは罪悪感も薄れるというものだ。
もちろんこれは例の助けられなかった人のために作ったものだ……決して手が滑って倒してしまった上に皮と肉しか採取できなかった可愛い生き物に対する慰霊のためではない。
……まああの生き物を倒してしまった申し訳なさから思いついたのは事実だけれど、こうしてお墓を作って両手を合わせると実際にほんの少しだけれど心が軽くなるから不思議なものだ。
そうして拠点の片隅に作った墓地から離れて住居に近づけば、そこに待機させておいた六匹の動物たちが一斉にこちらを眺めてくる。
ウルッフにラプトルABCとモスラ、そして瘤付きの……水が漏れてた時の印象が強いのでモレちゃんと名付けた子だ。
あの時、ちょうど素材欲しさ……ではなく誤ってとどめを刺してしまった可愛い動物を解体し終えたタイミングで目覚めたモレちゃんはそれまでに餌を与えていたこともあってか無事に仲間になってくれたのだ。
しかも既にサドルも装着済みだ……身体がそこそこ大きいから素材こそそれなりの量が必要だったが、瘤と頭の間に安定して乗れそうな場所があったおかげが鉄資源無しでも作れたからだ。
背が高いから遠くまで見渡せるし、この子の背中からなら安全に護衛の動物に指示を出しつつ弓矢などを打つこともできると良いことずくめだ……どうやら思っていた以上にこの子は役に立ちそうだ。
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まだ日が昇りきっていないが、逆に真昼間になると暑すぎて活動し辛くなる。
だから今のうちにもっと動くべきだと判断して、早速俺は仲間の動物達ととりあえず金属鉱石を採取しに向かうことにした。
果たして少し移動を開始しただけでラプトルや刺トカゲ、狼といった肉食が群れなして襲い掛かってくる。
ただしょせん野生動物、どいつもこいつも同族としか連携をとれない上に攻撃されるとそいつへ本能的に反撃するばかりだ。
お陰で既にサドルを装着済みのラプトルABCを前に出し、ウルッフは非常用の護衛として俺の傍に待機させた状態でも弓矢を打ち続けるだけで安全に始末できた。
もちろんラプトルは少しは傷ついているが、サドルが盾代わりになることとしっかり指示を出して敵を一匹ずつ攻撃を集中させて即座に打ちのめしたのでまだまだ全然戦える状態だ。
非常時の逃走手段及びコンパスのない現状で空から地形を確認することで拠点までの方向を知ることができるモスラなどは絶対にやられないよう、身を守ることにだけ専念するように指示していることもあり怪我一つ追わずにピンピンしている。
この調子ならば案外このまま緑のオベリスクまで行けなくもなさそうだが、それでも遠征するには最低限鉄装備とモスラとはぐれても方角を見失わなくて済むようにコンパスだけは完成させてからにしよう。
今回名前が出た動物
トビネズミ(可愛い生き物)
カイルクペンギン
ダイアウルフ(ウルッフ、狼)
ユタラプトル(ラプトルABC)
リマントリア(モスラ)
モレラトプス(モレちゃん)
モロクトカゲ(刺トカゲ)