五十二頁目
昨日の悲鳴の持ち主とこの鉱石の主が別人の可能性は高い。
そこからわかるのは、どうやらこの砂漠には意外と多くの人間がやってきているらしいということだ。
ただモスラと共に空から確認した様子だと近くに別の人間が拠点を作っている様子は見られなかった。
こうして二人もの犠牲者が出ていることを考えればここが人の集まりやすい……或いは何もない状態でスタートさせられるような比較的安全な……信じたくはないが、とにかくそう認定されている場所らしいというのにだ。
普通に考えればそんな最初の場所には直ぐに行き倒れなかった人間が最低限の安全を確保するための拠点を作ろうとするはずだ。
実際に前の島でも俺は元より、自力で生き延びていたフローラを襲った男とオウ・ホウさんの二人は自分なりの拠点を作っていたではないか。
そう考えると他に拠点が作られていない理由は来て早々にやられる人間ばかりで拠点を作る暇がないからとしか思えないのだが、果たして本当にそうなのだろうか?
俺の仮設ではこの過酷すぎる大地には俺が初めて目を覚ました島のような環境を制したものばかりが集まると思っていた。
しかしあのオベリスクの奥にいたドラゴンのような奴や、火山の中の洞窟といった難所を乗り越えてきた輩ならば幾ら肉食だらけのこの場所に身一つで送られたとしても拠点一つ作れずにやられるとは考えにくい。
実勢に俺はこうして何とかやっていけているのだから……ただ逆に言えば初めてこの場所で目を覚ました人間ばかりだというのなら納得がいく。
それこそ俺だってここが初めて目を覚ました場所だったらきっと拠点を作る作らない以前に命を落としているだろうから。
しかしいきなりこんな場所に人を送り込むだなんて箱舟の管理者は何を考えているのやら……それとも理由があって管理できていないとか、わけでもあるのだろうか?
……考えてみれば『待つ者』とやらは俺に何かさせたいことがあると言ってこの砂漠へ送ってきた。
ひょっとして本当にエラーでも起こしていて、それを直させるために俺を送ったのだろうか?
五十三頁目
帰路を歩きながら色々と頭を悩ませるが結論が出るはずもない。
しかしとにかくこの砂漠は前の島よりも人が多く存在する可能性に気づいた以上は、もう少し俺は周囲の探索をこまめに行うべきかもしれない。
昨夜に悲鳴を上げていた人を始めとして、意外とこの付近をうろついている生存者は多いのかもしれないのだから。
そうやってこまめに巡回することで別の生存者と出会う可能性を増やし、その中で協力できそうな人と力を合わせれば俺のやれることだって増えていく。
何より幾ら何かの目的のために作られた命とはいえ、人が死ぬのを看破するのは耐えられない……できる限り助けてあげたいところだ。
ただ問題は人間の中にはよからぬことを目論む輩も混じっているということだ。
それこそ前の島でいたフローラを襲った男のような……まああの男は頭がおかしくなってしまっていた可能性もあるし、そもそも男の俺と望んで争おうとする奴がいるとは思えない。
まあフローラやメアリーのような魅力的な女性が仲間になった後なら警戒した方がよさそうだけれど、とりあえず今の時点では……ちょっとだけ右手首が痛い……まさか女の人を仲間にしたら駄目だなんて言わないよねフローラ?
今回名前が出た動物
リマントリア(モスラ)
ドラゴン