六十七頁目
聞きたいことばかり増えるがハンスさんは相変わらず混乱しっぱなし……或いは興奮しっぱなしというべきか、とにかく会話が成り立たない。
ただ、しきりに俺にあのメカ生物を解体してその素材を寄越すように要求してくるが今の時点でいうことを聞くわけにはいかない。
何を作れるのかは元より何を目論んでいるのかもわからない現状で、まして貴重かつそこそこ役に立つ能力を持っているあの子を処分するだけの価値があるのかどうか俺には判断できないからだ。
だからせめて落ち着いて話ができるようになってから続きは聞くとだけ言って一旦離れることにする。
それでも縋り付いて来ようとするハンスさんだったが、入り口を開けた途端威嚇してきたコレオちゃんを見て怯えたように毛布の中へ隠れてしまうのだった。
……何というかフローラに手を出そうとした男を除けば今まで出会ってきた人の中で一番厄介かもしれない……本当に早いところこの環境に適応してもらいたいものだ
六十八頁目
夕暮れに世界が染まる中、俺は最後の一仕事とばかりに周囲にある植物や木材、それに岩などから採取できる素材を片っ端から集めていく。
その上でついでに近づいてくるラプトルや刺トカゲを護衛のウルッフ達に狩らせてそこからも素材を採取していく。
そして一通りの仕事を終えたところで、ちょうど近くを飛んでいたお腹の膨らんだ虫を最後に弓矢で撃ち落とした。
お腹の色が違う二匹を弓矢で射抜いて原油を可能な限り取りこぼさないよう慎重に解体したが、片方からしか取れずもう片方からは飲めそうな純度の水が流れ出るばかりだった。
てっきり雌雄で色が違うだけかと思っていたのだが、どうやらお腹に蓄えている液体の種類によって色が変わるらしい。
しかしこいつらは一体どこから水やら石油やらを採取しているのだろうか?
まして全く同じ生き物なのに別の物を蓄えている点といい、本当に訳が分からない。
……ひょっとして水と石油の両方が取れる場所に生息地があり、そこでたまたま先に触れた方の液体を採取しているとか……いや、まさかそんなことはないか。
まあ非常時に水を補給する手段として……また原油が取れる場所が見つかっていない現状で最低限の量を確保する手段として、とりあえずこの虫のことは忘れないようにして、特に原油はこまめに採取しておくことにしよう。
六十九頁目
拠点内に入ると未だにぶつぶつ文句を言っているハンスさんがこちらを何とも言えぬ眼差しで睨みつけてくる。
そんな彼と一緒に夜を過ごす気になれなかった俺は仕方なくこの場を彼に譲ると、二階部分に新たな住居を設営した。
これは簡易なそれこそ寝泊まりするためだけの場所にする予定なのでベッドだけ置いて、後は眠くなるまで作業すべく再び様々な設備のある一階へと戻った。
もちろんまたハンスさんに見られることになるが、相変わらず話しかけてもまともな返事が返ってこないので無視して作業を行うことにする。
熱気が凄まじいので拠点の外れに設置した製錬炉から回収したインゴットを作業机に並べ、何とか金属の斧が作れそうなので早速これを完成させた。
しかしまだまだ作りたいものはある……鎌にボーガンに、それこそできうるならば金属の鎧だって欲しいところだ。
ただ余りにも金属鉱石が足らなすぎる……今回取ってきた分はもう全部使ってしまったぐらいだ。
だからと言って今の時点で確認できている金属鉱石の塊の傍にはあのゴーレムが……全く困ったものだ。
こうなると次にどう動くべきか少し迷ってしまう。
最初に決めた通り金属鉱石を採取するためにあのゴーレムをどうにかする方法を考えるのを最優先の課題にするべきか、それともいっそ水源のありそうな緑のオベリスクを先に目指すべきかどうか。
今回名前が出た動物
TEKパラサウロロフス(メカ生物)
ティラコレオ(コレオちゃん)
ユタラプトル
モロクトカゲ(刺トカゲ)
ジャグ・バグ(お腹の膨らんだ虫)
ロックエレメンタル(ゴーレム)