七十頁目
方針に迷ったときは仲間と相談、それが前の島での習慣だった。
だから何となくフローラの鉱石に目を向けると、彼女のホログラムはオベリスクの方を指さしているように見えた。
どうやらフローラとしてはあの危険そうなゴーレムと戦うよりは水源を探しに行く方をお勧めしたいようだ。
……まあ確かに今の物資と戦力であのゴーレムをどうにかできるかといえば……せめてもっとスタミナの多いアルケン君ぐらいの飛行生物が手に入ってから出ないと、あの投石……というか投岩を躱しきるのも難しそうだ。
そう考えるとフローラの言う通りな気もするが、俺はすり鉢で作れるものを製作しつつ何気なくこの場にいるもう一人の人間であるハンスさんにも同じことを問いかけてみた。
別に返事を期待していたわけではなく、それこそ何となくだったのだが、意外にもハンスさんはオベリスクという言葉に思いっきり反応を示した。
そして絶対に向かうべきだと強く強く主張してきた……同時にあのメカ生物の原動力となるエレメンタルダストの採取も一緒にだ。
どうやらハンスさんの技術をもってすればオベリスクに干渉して色々とできることがあるらしく、その際にエレメントダストもまた有効的に利用できるのだという。
……そういえばTEKレプリケーターはあのオベリスクを使って作ることができた……意外と俺の知らない機能がまだまだたくさん隠されているのかもしれないなぁ。
七十一頁目
真夜中だというのに今にも外に飛び出さんとするハンスさんだったが、コレオちゃんの姿を見たら慌ててベッドへ戻ってしまった。
しかしとにかくオベリスクに向かうべきだとの主張は止まらず、そのための支度をしろと喚きたてている。
……この人は俺のことを何だと思っているのだろうか? 便利な召使とか或いはボディガードだと勘違いしているのかもしれない。
ハンスさんの指示に従う義理も義務もありはしないのだが……まあ別に逆らう理由も無いしちょうどいい目的なのも事実だから結果的には言う通りにするつもりだが、こうもこちらの言うことを聞かずに好き放題言われると思うところも出てくる。
だが今回は一緒に行動するつもりのようだし、それで過酷な外の環境を再確認してもらえればもう少しまともに……なってくれたらいいんだけどなぁ。
まあ余り余計なことを考え…………ま、また悲鳴っ!? 本当にこの砂漠は……くそっ!!
七十二頁目
人の悲鳴を聞いて怯えたように毛布にくるまったハンスさんを放置して、俺は拠点の外に出ると使い捨ての照明銃を惜しむことなく打ち放っていく。
そのおかげで周辺は一時的に昼間のごとく明るくなったが、モスラに乗って上空から辺りを見回してみても人の姿は見られなかった。
どうやらこの近くで襲われているわけではないらしい……念のためにメカパロロ君の咆哮も利用するが、反応するのは野生生物ばかりだ。
更に悪いことに人の悲鳴はそれっきり聞こえてこなくなってしまう……これではどこへ捜しに行けばいいのか、方向すらわからないではないか。
ましてモスラのスタミナと能力を考えたらこの子で探しに行くわけにもいかず、仕方なくまた松明を手に狼に跨って周囲を探索するけれど結局人を見つけることはできなかった。
……くそっ!! また見殺しにする羽目になるなんて……本当に最悪だっ!!
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
アルゲンダヴィス(アルケン君)
TEKパラサウロロフス(メカ生物・メカパロロ君)
ティラコレオ(コレオちゃん)
リマントリア(モスラ)
ダイアウルフ(狼)