ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第452話

七十五頁目

 

 不意に前の方にある坂道の向こう側から動物同士が騒がしく争う物音が聞こえてきた。

 恐らく肉食に襲われた草食動物が反撃しているのだろうと判断して、まっすぐ突っ切るかどうか一瞬迷う俺。

 視界が通ってないからどんな種類の動物同士が争っているのかここからではわからないが、下手に巻き込まれて余計な戦闘をして時間を食っても仕方がない。

 

 だから少し遠回りしてでも避けていこうかと思った……のに、そこでハンスさんが困惑したような叫び声をあげながら勢いよく俺を追い抜いて行った。

 どうやらモレちゃんに迂回指示をだそうとしたところ、操作を誤って走らせてしまった上に止め方がわからず困惑している様子だ。

 ……放っておくわけにもいかないし、また先行したハンスさんが肉食に襲われることも考えるとやっぱり片っ端から動物は倒していかないといけないようだ。

 

 そう思いながら急いで後を追いかけようとする俺に向かって、坂道の頂上を超えたハンスさんが何やら必死に呼びかける声が聞こえてきた。

 最初は護衛代わりの俺から離れた心細さから喚いているのかと思ったが、どうも様子が変だと思い慌てて斜面を駆け上った。

 そして見えてきたハンスさんが指し示している方へ視線を向ければ、ラプトルと豚の群れに襲われてズタボロになりながらも必死で尻尾のハンマーを振って抵抗するアンキロと……その少し後ろでクスクス笑いながら立ち尽くす丸裸の幼い女の子の姿が目に飛び込んでくるのだった。

 

七十六頁目

 

 今にも人が襲われそうになっている事態に俺は驚きつつも、ウルッフたちをラプトル達へ向かってけしかけながら自らも弓矢を手に狙いを定め始めた。

 そうして攻撃し始めたことでこちらに気づいた動物たちのうちアンキロは俺の姿を見るなり一瞬嬉しそうな反応を示した上に、ウルッフ達に口笛で出した指示にも露骨に反応して見せた。

 どうやらこの子は昨日、ゴーレムの襲撃の際に別れたアンキロだったようだ……無事でいてくれて何よりだが、それ以上に俺のいないところで結果的にかもしれないが生存者を守ってくれていた事実に胸が熱くなる。

 

 そんなアンキロ君を死なせまいとまずは退治より追い払うことを優先しようとメカパロロ君に咆哮させることにした。

 するとあっさりラプトル達は元より豚までもが逃走を始めてくれて、その隙にアンキロ君と合流することに成功する。

 尤も一定時間たてば威嚇の効果が切れて逃げていった奴らが戻ってくるだろうし、今のうちに退治しておこうと無防備な背中を向けている動物たちの背中に矢を放って一匹ずつ駆除していく。

 

 しかし豚の奴は逃げながらも周囲の動物を回復するオーラを放っており、お陰でラプトルを退治しきるのにも時間がかかってしまい、結果的に威圧の効果が切れた豚が再びこちらに向かってきてしまった。

 尤もこいつには大型肉食獣のように広範囲を巻き込むような攻撃はできないだろうし、俺達が前面に立ちはだかっていればアンキロ君もその後ろにいる少女も安全だろう。

 

 ついでにハンスさんも……戦うつもりか逃げようとしたのかはわからないが、モレちゃんを上手く操れずに俺達の周りを大きく旋回しまくっている彼にも危険が及ぶ心配もなさそうだ。




今回名前が出た動物

モレラトプス(モレちゃん)
ユタラプトル
ダエオドン(豚)
アンキロサウルス
ダイアウルフ(ウルッフ)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
TKEパラサウロロフス(メカパロロ君)
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