八十一頁目
俺の心配とは裏腹にオベリスクを目指す最中にあのゴーレムのような脅威に見舞われることはなかった。
だから俺達は順調に進めた……と言いたいところだが、野生動物以外で厄介なことが目白押しであった。
未だに動物を操りなれないハンスさんがあっちこっちに行っては、モレちゃんを細かい段差や砕けそうな岩に引っ掛けては足止めを食らう。
そのせいでラプトルやら狼やらといった肉食に何度も襲われる羽目になるし、そのたびに少女は狼から降りては、弓を構えながら注意する俺に生贄になる時が来たのかと尋ねてくる。
もちろんハンスさんは相変わらず動物に振り回されっぱなしで戦闘には参加する以前の問題だし、目を離したら何をするかわからない少女のせいで弓を使う暇もない。
その状態で少女と傷だらけのアンキロ君の護衛役としてウルッフCを傍に残しておかなければいけないせいで、メカパロロ君の咆哮とコレオちゃんとウルッフABだけで戦い抜かなければいけなかったのだ。
本当にきつい……洒落にならないぐらいきつすぎる……一瞬、非常逃走手段として連れてきているモスラに乗って何もかも放り出してどこか遠くへ飛んでいきたくなってしまった。
まあそんなことができるわけもなく、俺は時折右手首の鉱石に浮かび上がるフローラのホログラムが応援する姿に癒されつつ必死に自分を鼓舞し続けた。
お陰で何とか無事にオベリスクの元に到着しそうになったが、そこで一瞬前の方からズシンズシンという足音共に振動が伝わってきて心臓が止まりそうになる。
まさかこのタイミングでゴーレムが……勘弁してくれぇ……もしそうなら俺の心は完全に折れるぞぉ……
そんなことを思いながらビクビク進んでみると、そこにいたのは前の島でも見たキリンに似た巨体の草食であり、思わず胸を撫で下ろしてしまうのだった。
八十二頁目
水、水、水……思った通り緑のオベリスクの傍には大量の水源が存在していた。
正確にはオベリスクの機械を囲むようにそこそこ深度のある池のような水たまりがあり、そこには魚も泳いでいるではないか。
生き物が泳いでいるということは、つまりこの池が何かしらの要因で一時的に生まれただけの水たまりではなく常に存在するものだということだろう。
一体この水がどこから湧き出ているのかは不思議だが、この箱舟でその手のことを考えても仕方がないのは今更だ……恐らく何かしらの目的があって箱舟のシステムで管理されているのだろう。
そういえばパソコンを始めとした機械は熱に弱いというし、案外この暑すぎる砂漠でオベリスクを冷やすために不自然に見えない方法として池で囲んでいるのかもしれない。
まあそれはともかく、問題はこの水が飲めるかどうか……非常に澄んではいるし前の海でのことを思えば飲めないことはないと思うが、念には念を入れた方がいい。
だからまず水筒役も兼ねているモレちゃんに飲んでもらおうと思ってハンスさんに声を……乗り物酔いしたのか、いつの間にかモレちゃんから降りて地面にくずれ込むようにして呼吸をしている。
そんなハンスさんの傍に少女ごとウルッフ達を呼び寄せて様子を見ておくよう頼んでおいて、改めて俺はモレちゃんと共に池へと近づいていった
するとモレちゃんは嬉しそうに池の中に頭を突っ込むとゴクゴクと水を飲み始めて、それに比例するように瘤が膨らみだした。
動物と人間で違いはあるだろうけど、これだけガブついても平気なようならば即座に影響が出る様な強い毒性はなさそ……っ!?
わ、ワニが池から飛び出してモレちゃんに襲い掛かってるぅううっ!? ま、まさかこんな渇いた世界に水棲のワニがいるなんて……な、なんて驚いている場合じゃないモレちゃんを助けないとっ!!
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
モレラトプス(モレちゃん)
ユタラプトル
ダイアウルフ(狼)
アンキロサウルス
TEKパラサウロロフス(メカパロロ君)
ティラコレオ(コレオちゃん)
リマントリア(モスラ)
パラケラテリウム(キリンに似た巨体の草食)
シーラカンス(魚)
カプロスクス(ワニ)