ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第461話

九十四頁目

 

 カンガルーの希少さとこの砂漠での肉食の多さを思えば今すぐにでも捕獲に行くべき、だとは思ったが残念ながら今回は見送らざるを得なかった。

 理由としては少女を連れた状態であそこまで移動するのは危険そうというのもあったが、それ以前にあのカンガルーは物凄く偏食であることを思い出したからだ。

 記憶が確かなら仲間になった後はともかく、最初に仲間にする際は変なキノコしか食べてくれなかったはず……そして今の俺の手元にそのキノコはない。

 

 これでは眠らせても仲間にはできないのだからどうしようもない。

 だから仕方なく俺は日が暮れるまでの間、少女と共にこの近隣に生えている植物の採取だけを行うことにした。

 本当は金属鉱石を採取したいところだったけれど、前のようにあの近くにゴーレムが隠れていたらと思うとやっぱりこの子と共に向かうのは危険だと思ったからだ。

 

 ……やっぱり早いところこの子の身の安全をどうにか確保する方法を見つけないとなぁ……何ならハンスさんが拠点の中でこの子の面倒を見てくれるだけでも助かるんだけど、あの調子じゃ難しいだろうなぁ……はぁ。

 

九十五頁目

 

 ありがたいというべきか惜しいというべきか……まさかこの辺りの植物を採取していたら例のキノコが希少な花と共にほんの僅かとはいえ紛れていただなんてびっくりだ。

 もう少し早く気づけていたらカンガルーの捕獲を考えてもよかったかもしれないが、残念ながらもう日は完全に暮れてしまっていた。

 流石にオベリスクのお陰で多少周りを見回せるとはいえ、それでも殆どが真っ暗闇の中を出歩くのは危険すぎた。

 

 だから篝火や焚火で明るく照らし出されている拠点の中に戻った俺はそのまま屋内作業に移ろうと一緒に居た少女を狼から下ろそうとした。

 しかしその前にいつの間にか自発的に狼から降りていた少女は、自然な動作で焚火の周りを踊る様に舞い始めていた。

 ……彼女は巫女だと自称していたが、もしかして炎の前でこうして踊る風習でもあったのだろうか?

 

 少し驚いたが物凄く様になっていて……余りに美しい光景に、俺は時を忘れて見入ってしまう。

 そうしてどれだけ見ていただろうか、ようやく満足したっぽい少女が舞をやめたかと思うとこちらに歩いてきて呪文だか祈りの言葉は何を言えばいいのかと聞いてくる。

 要するに締めの合図みたいなものなのだろうか? 良く分からないが俺にそんなもの思いつくはずが……と思ったところで、ちょうど少女の傍にモスラが佇んでいるのに気が付いた。

 

 原始的な布の服を纏い神秘的な雰囲気を醸し出している巫女……その脇に降り立つ巨大蛾モスラ……そこから連想した歌を伝えてみると少女は少しだけ首をかしげたが、すぐに言われたまま歌うように読み上げるのだった。

 ……うん、ものすごぉく様になってる……できればフローラにも同じ格好をしてもらって二人揃った状態で同じことをしてもらえたら最高だっただろうなぁ……そう思いながら右手首の鉱石を見つめてみると、フローラのホログラムはやれやれと言わんばかりの表情で俺を見つめたかと思えば、少女の方には懐かしそうにも羨ましそうにも喜ばしそうにも思える視線を向けているのだった。




今回名前が出た動物


プロコプトドン(カンガルー)
リマントリア(モスラ)
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