九十九頁目
眠っているうちに少女が外に出て行かれても怖いため、フローラに許可を得たうえで少女のすぐ隣に作ったベッドで横になった。
そして今回もまた動物の鳴き声のようなもので目が覚めて、慌てて飛び起きたが今回は少女はぐっすり眠りについたままであった。
不思議に思って耳を澄ませてみると、どうやらこの動物の鳴き声は外から聞こえているようだ。
恐る恐る外に顔を出してみればちょうど日が昇ったばかりのようで、少し肌寒い程度の気温だが周囲はほんのり見通せる程度には明るくなってきていた。
これなら少しぐらい拠点の外に出ても大丈夫そうだと、防壁の隙間からそっと声の方を眺めてみると、そこには前に仲間にしそびれた可愛らしい生き物が空に向かって可愛い鳴き声を発しているではないか。
「くぅ、くぅ」とも「はる!はる!」とも聞こえる鳴き声……本当にかわいい限りだが当の動物はどこか必死そうに何かを訴えかけているようにも見える。
……ひょっとして肉食か何かに襲われて助けを求めているのか? だけど周りにその手の生き物はいないし……どうしたのだろうか?
よくはわからないけれど、取りあえずこん棒で殴って今度こそ仲間にしておこう。
百頁目
何とか無事に仲間にできたネズミっぽい生き物であったが、目を覚めてからもこの子は鳴きっぱなしであった。
一応静かにするよう指示を出したことで声の大きさ自体は小さくなったが、流石に寝ている子のいるところに連れていくわけにはいかない。
だから防壁の内側に連れ込んだところで待機してもらい、一度俺は住居の中へと戻ることにした。
もう少し寝てもいいし、何なら少女の眠りが深いようならば今のうちにちょっと遠出してもいいかもしれない。
どっちにしようか迷いつつ少女の様子を伺おうと思ったのだが、そこでいつの間にか目を覚ましていたらしいハンスさんが声をかけてきた。
どうやら彼は早い段階で眠りについたおかげで早く目覚められたようで、先ほどの鳴き声が何だったのか尋ねてくる。
そんな彼に事情を説明すると少しだけ黙り込んだかと思えば、今日は野外活動は止めておいた方がいいかもしれないと言ってくる。
恐らく何かしらの危険を告げるために鳴いているのだろうし、少なくとも鳴き声が何を意味しているのか分かるまでは様子を見た方がいいというのだ。
……まあ確かに俺はまだこの砂漠のことを全くわかっていない……そしてこの砂漠特有の動物の特色についてもだ。
実際に仲間にして活用しているのはモスラを除いて前の島にいた動物ばかりだったが、考えてみたらあの島にいる生き物も大抵個別に異なった能力を持っていて場面場面で使い分けできるようになっていた気がする。
そう考えるとこの砂漠にしかいないあのネズミ……ミッキーと名付けた子の能力もこの砂漠で活かせる能力の可能性があるし、だとしたらハンスさんの言う通りその辺を見極めるまで慎重に動いた方がよさそうだ。
だから彼の言うことに頷いてとりあえず屋内での作業を中心に動くことにすると告げると、彼は話したいこともあるしある意味でちょうどよかったと言うのだった。
……なんか妙に態度が神妙というか落ち着いているというか……ち、ちょっと逆に不安になるんだけど……?
今回名前が出た動物
トビネズミ(可愛いらしい生き物・ミッキー)