ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第465話

百二頁目

 

 ハンスさんの言う通り、彼と話している間に外が騒がしくなって様子を確認したら少し先の様子も見通せないほど激しい砂嵐が吹き荒れていた。

 も、もし外に出ていたら間違いなく拠点に戻ってこれなかった……どころかこの砂嵐に体力を奪われて命をも落としていたかもしれない。

 ハンスさんはまさしく命の恩人と言っていい。

 

 ……考えてみれば少女の依存症による苦しみもハンスさんの助言で事なきを得たのだ……本当に彼の知識は頼りになる。

 だから同じく外の様子を確認して驚いているハンスさんにお礼と共に頼りにしていることを告げると、彼はまんざらでもない様子で頷いて見せた。

 その上で改めて俺はどうせ野外では活動できそうもないのだし、屋内でまたすり鉢で作れるものを作りつつ今まで気になっていたことを片っ端から訪ねてみることにした。

 

 もちろんまずは未来で何が起きて、そしてどういう目的の下にこのARKシステムはスタートしたかについてだ。

 するとハンスさんは申し訳なさそうな、それでいてバツが悪そうな顔をしながらゆっくりと語り始めた。

 

『全ての始まり、いや終わりは……あのエレメントという物質を見つけた時から始まっていたのだろうな……』

 

百三ページ目

 

 ハンスさんの語る内容はある意味で想像できていたような、それでいて想像したくない最悪な未来と言っていい物だった。

 よくSFでテクノロジーが極まった文明同士が終末戦争を引き起こす、などという話を聞いていたが要するにそういうことだったらしい。

 エレメントという万能のエネルギー源を見つけた人類は、それを元に一気に文明を発展させて……あのTEKレプリケーターやらオベリスクやら、ともかくあのような物までも作り上げられるようになった。

 

 もっと言えば今の俺達のようなクローン技術は愚か、絶滅動物をも自在に復活……どころか思いのままにデザインした能力を付加した上で生み出せるほどにだ。

 ……そしてそこまで極まった、そしておごり高ぶった人類文明は更なる発展を求めて、ついに人類そのものを更なる高次元生命体に進化させようとまでし始めたらしい。

 しかし流石にそこまで行くと反対派の意見も大きくなり、ついには二大勢力となり……争いを始めた。

 

 それは地球共和国連合と地球人民連盟という名前だったり、単純に連邦政府とUREとか呼ばれる組織だったり……良く分からないがまあとにかくその辺の細かいところは気にしても仕方がない。

 問題だったのはその戦争にもエレメントが大量に使われたということ……便利すぎてその毒性に未だ気づかれていなかったそれを両陣営は大量に地球上のあらゆるところで使って破片のようなものをバラまいてしまったらしい。

 エレメントの毒性は微量ならばたいした影響力を持たない、しかし地球上のあらゆるところが汚染された結果ついに人類に……いや地球上の万物に牙をむき始めたという。

 

 具体的にはあらゆる生命と自然環境を汚染し、その意志と精神を乗っ取った上で統一した一つの意思の支配下に置かれ、エレメントに犯されていない他の生命を攻撃し始めたという。

 それに対抗するためエレメントに汚染されない人工機械生命としてディフェンス・ユニットやアタック・ドローン……どうもあの島の管理者が生成していた機械兵士らしいが、それに加えてエンフォーサーとスカウトという物を作って抵抗したらしいが、結局はエレメントの汚染を防ぎきれず地球を捨てる羽目になったという。

 しかし人類そのものの存続や地球そのものを奪還すること自体を諦めたわけではなく、そのための対策として考え出された二つの方針こそが『ジェネシス計画』と『ARKシステム』だったらしい。

 

 ……ようやく核心に話が届きそうでドキドキする俺に対して、目を覚ましていつの間にか一緒に聞いていた少女は全く理解できていないようで小首をかしげてばかりいる。

 まあそれでも大人しく聞いていてくれるからこのまま続きを、と思ったところで少女が再び発作でも起こしたかのような苦しい声を漏らしだしたので、仕方なくいったん中断して例のカスタムドリンクを作って差し出すのだった。

 ……エレメントの汚染とか聞くと本当に大丈夫なのかやっぱり不安だなぁ……まあハンスさんがエレメントダストは大丈夫だって言ったし大丈夫なんだろうけど。

 




今回名前が出た動物

ディフェンス・ユニット
アタック・ドローン
エンフォーサー
スカウト
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