百十七頁目
近くに駆け寄るまで時間がかかったせいで狼が一匹お亡くなりになってしまったが、代わりにワニを仲間にすることに成功した。
どうせ狼はすぐ仲間にできるし、水陸両用であるワニの方がずっと役に立つ……と思ったがこの水らしい水がほとんどない土地ではどうなのだろうかと仲間にした後で疑問に思う。
尤も洞窟の中で水中を進む必要がある場面が出てくるかもしれないし、やっぱり仲間にしておいた方がよさそうだ。
……まあ体格の問題で洞窟に入れない可能性もなくはないけれど……前の島を思えば果たしてこいつはどこまで出入りできるのやら?
そんなことを思いつつとりあえずハンスさんと一度昼食がてら休憩しようと告げて拠点に戻ろうと告げるが、もう少しだけだと言って彼はオベリスクに向かい続けた。
何でも異常な発信源がどうとか、これが干渉しているのかとか、もう少しで特定できるかもとか口にしていたが、良く分からない俺は様子を見守ることしかできないでいた。
……そしてハンスさんは不意にこのARKは一体、と困惑とも脅えともつかない声を漏らした。
そっと彼の手元を覗き込んでみると、インプラント越しに捜査していたのか彼の左手首の鉱石の上にホログラムのようなものが浮かび上がっていて……一つの柱が壊れている異様なARKの姿が映っていた。
そしてそれは形を変えると一つの文字列へと変化するのだった。
『Aberration』
百十八頁目
拠点に戻り昼食を食べながら改めてハンスさんに先ほどのことを聞くと、どうやらあのアベレーション?とかいうARKがヤバい信号を出しまくっているらしい。
周りに干渉しているような、或いは単純に何かを調べようとしているかのような……とにかくハンスさんも何が起きているのか想像もできないほど滅茶苦茶異常な状態になっているようだ。
まあ俺もホログラムで見ただけだが……いや島の管理者がいた部屋から見えていたあのARKと同じものかもしれないが、ともかくバリアっぽい物を形成しているはずの柱が壊れている時点で何かが起こっているのはわかる。
またそれ以外にも細かいエラーがあるらしく、やはりこの砂漠に他の場所を経由しないで直接人が送られてくるのは異常事態だそうだ。
更に年代測定からしてもARKは計算上では地球に戻っていなくてはおかしいはずだが、実際にこうしてとどまっている以上地球のエレメント汚染は改善されるどころか悪化している可能性すらあると苦しげに語る。
そしてそれらのエラーの原因は例のアベレーション……なのか、それとも別にあるのかこれもまたハンスさんにはわからないらしい。
悔しそうに俯きながらサンティアゴなら何かわかっただろうにと誰かの名前を出しつつ自分を卑下するハンスさん。
……前にも聞いたその名前が気になり詳細を訪ねてみたが、何でも彼と同じ時代に活躍していた本物の天才だという。
まあ俺から見ればハンスさんも十分すぎるほど優秀な人材なのだけれど……少なくともハンスさんが居なかったら俺は未だにこのARK計画が宇宙人主導で行われている可能性すら否定しきれなかったのだから。
それにオベリスクにしてもただ強力な敵と戦うための転移装置ぐらいにしか思えなかっただろうし……あぁ、何とかしてオベリスクの使い方を前の島にいる仲間達にも教えられたらなぁ。
今回名前が出た動物
ダイアウルフ(狼)
カプロスクス(ワニ)