百十九頁目
とにかくARKシステムにエラーが起きていることは確実であり、そこからして『待つ者』ことホモデウスが俺に期待していることはやはりそのエラーを排除することだろうとハンスさんは結論づけた。
だけど俺なんかが何をすればいいのかと呟くが、それに対して彼は普通に前の島と同じようにサバイバーとしての能力を磨いたうえでARKを攻略すればいいだけだという。
ARKシステムを……いや未来のテクノロジーに異変を起こしうるのはエレメントの影響ぐらいだろうからこそ、その根源となっている何かを絶てばいいのだ。
そしてその根源は目に見えないプログラム的な形ではなく、何かしらの物理的な形をとっているだろうからサバイバル能力を鍛え上げた存在が軍団を率いて襲い掛かればきっと倒せるだろう。
そう断言するハンスさん……まあ確かに物理的に排除できない脅威ならわざわざ一人間である俺を利用しないで、システムに直接干渉できる『待つ者』とやらがやれば済む話だ。
だからこそ俺はより逞しくなり、より多くの人間や強力な動物を揃えた組織を作り上げてその脅威に対抗できるようにならなければいけない……そのために成長させようとしているのではないか。
また単純にARKにおける一番のエラーはこの島の理も兼ねているボスというか管理者というか……とにかくそういう存在に集約しているはずだからこそ、それを一度倒してしまえばそのARKのバグはある程度は改善されるはずだともいうのだ。
またそうでなくてもこの砂漠のARKシステムの管理権限があるボスを倒してしまえば外部から干渉しやすくなるため、その『待つ者』というホモ・デウスがシステムを修正できるようになるからやっぱりバグは改善されるとのことだ。
……もしそれが本当なら俺がボスを倒しさえすればこの砂漠にいきなり経験不足の人間が送られて哀れな被害者となる流れを断ち切ることができる……ならばより一層急いで攻略したいところだが、やはり無理して命を落とすわけにもいかないし、悩ましいところだなぁ。
しかしこの砂漠のボスかぁ……前の島より辛い環境であることを思えばその強さはどれだけなのか……。
島の一番奥にある管理者は元よりオベリスクの奥に潜んでいたドラゴンですら死にかけたというのに、あれ以上だとしたら……うぅ、戦いたくないなぁ……。
それに大本である全てのエラーの根源がこのARKではなく違うARKにあるのだとしたら俺はそいつらを倒してこの砂漠のARKを攻略した後も更に厄介なARKに……それこそ先ほどから名前が出ているアベレーションとかいうヤバそうな場所にもいく羽目になりかねない気が……はぁ、勘弁してくれよぉ。
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相変わらずハンスさんとの会話は時を忘れるほどに重要な内容ばかりだ。
お陰で話が終わる頃にはまた日が落ちて来ていて、外での活動が再び可能な時間帯になっていた。
もちろん既に目を覚ましていた少女と共に俺はもう一度金属鉱石を回収しようと思いつつ、ふとトイレを作るためにも水晶が必要になることを思い出した。
ただ水晶は前の島での経験からして山の上か、或いは洞窟のような……比較的危険な環境にしか存在しないと思われる。
一応危険性を無視するなら飛行生物であるモスラが二匹いれば少女を連れて探しに行けなくはないのだが一体どうしたものかと思ってハンスさんに軽く相談してみると、彼はその辺の判断は俺に任せると一任してきた。
その上でいつでもいいからもし水晶が余るようなら別の素材と共に持ってきてほしいという。
何でもオベリスクを利用して加工することで、色々と便利に立ち回れるようになるかもしれない道具を作れるかもしれないのだという。
それが何なのかは実際に作れるかわからないからはっきりとは教えてくれなかったが、必要になる材料は『繊維』『皮』『金属のインゴット』『原油』『ポリマー』そして『水晶』の六つだそうだ。
……前半はともかく後半の素材はどれも取れる場所が限られている希少品ばかりなのだが……しかもこの材料で作れるものを左手首の鉱石ことインプラントを眺めながら考えて見ても思いつきもしない。
一体ハンスさんは何を作ろうとしているのだろうか? 多分今の彼がわざわざ口にするということはこれだけの素材を使ってもおつりがくるほどの本当に便利な物なのだろうけど……?
今回名前が出た動物
リマントリア(モスラ)
●●●●●●(砂漠のボス?)