百二十三頁目
さらに周辺をうろついている際に上から池の中を見下ろしてみると、隅の方に一部光っている何かが沈んでいる一帯があった。
あの輝きは多分真珠だろう……前にハンスさんがワニに水中へ引きずり込まれたのもあの辺りだし、間違いないだろう。
電子基板を作る際などに使えるので、後で余裕があるときにでも回収しておこうと頭の片隅に留めておきながら、今はとりあえず陸地から採取できる素材と動物を確保していくことに専念する。
そのついでに地形も調べていくが、このオベリスクより外側……すなわちこのARKという世界の端の方を眺めてみると本当に砂しかない広大な砂漠がどこまでも続いているように見える。
しかも遠目で良く分かりづらいが、何やら危険そうな肉食がうようよしているようであった。
……あそこは日を遮れる場所も少なそうだし、もっともっと装備が整ってからでないと調べに行けなそうだなぁ。
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ちょうど目の前にモスラの同種が舞い降りてきた……それも二匹もだ。
早速ボーラで動きを止めて一匹ずつ仲間にしようとする、がそこへまたしても肉食の……前の島でよく見たティラノよりははるかに小さいが一応大型と言っていい体格の、頭に小さい角の生えている肉食が襲い掛かってきた。
確かこいつは足が速い上に器用に頭の角を使って出血させてくる奴だったはずだが、専用の設備がなければ捕獲できないほど強すぎる相手でもない。
だからモスラの同種に襲い掛かっている隙に再びワニを盾にするように配置換えしてから麻酔矢で打ってやると、途端にこちらに標的を変えて襲いかかろうとして……全く相手の足が進んでいないことに気が付いた。
どうやら野生のモスラの同種を攻撃した際に反撃で例の鱗粉を食らって動きが鈍くなっているようだ……物凄く好都合だしこのまま眠らせてやろう。
果たして何の問題もなく角の生えた肉食……前の島ではカルちゃんと名付けた奴の同種はもう一体のモスラの同種と共に眠りに落ちてくれた。
ただ先に攻撃を受けた方の巨大蛾は既にお亡くなりになっている様子だ……残念だがこうなった以上は素材としてありがたく利用させてもらうとしよう。
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考えてみたらモスラはこの島で初めて見かけた固有の種だったではないか。
だけどまさか解体したら見覚えのない未知の素材が手に入るとは思ってなかったので興奮と困惑が入り混じった感情が湧き上がり一瞬固まってしまった。
恐らく幼虫……がいるのかはわからないが、ともかく繭を作るために蓄えてあったらしい光沢のある糸の塊……絹のようなそれは見た目通り何かの防具に使えそうに思われた。
実際にこれで何か作れるか考えながら左手首の鉱石を眺めてみれば、この暑い地形にうってつけな熱に強い防具の作り方が思いついたではないか。
この装備さえ作れれば真昼間の一番熱い時間帯でも活動できるようになりそうだ……けどやっぱり問題なのは頭の部分にゴーグルのような装飾品が必要になりそうで、要するにそのためにもやっぱり水晶が必要になる点だった。
他の部位は『絹』『繊維』『皮』さえあれば十分そうなのになぁ……何だかさっきから水晶を採取しろと環境に訴え掛けられている気がしてならない。
だけどやっぱりそのためにはあの無防備な少女と共に遠出できるような状況を作らないと……そう思った俺の耳に、ふとズシンズシンと巨体の生き物が動く足音が聞こえてくるのだった。
今回名前が出た動物
カプロスクス(ワニ)
リマントリア(モスラ)
ティラノサウルス
カルノタウルス(頭に小さい角の生えている肉食・カルちゃんの同種)