百二十六頁目
足音の主はあのキリンに似た草食動物だった。
オベリスクの直ぐそばを未だにうろついていたようだ。
どうやら流石にあの巨体ともなると、この砂漠に湧く肉食でもそうそう狩れないようだ。
……そういえば前に巨体の生き物にプラットフォームサドルをつけて移動要塞にしたことが何度もあったっけ。
多分あのサイズならできなくもないと思い、早速鉱石を眺めてみたら案の定あいつに着けられそうなプラットフォームサドルの作り方が思い浮かんだ。
しかも必要になる素材は『皮』『繊維』『金属のインゴット』『真珠』『セメント』と、今の時点でも頑張れば揃えられるものばかりだ。
そして移動要塞を壊れにくい素材で作ってしまえば危なげな少女と共に遠出してもかなり安全を保てるのではないだろうか?
……まあその際も例のゴーレムだけは問題になりそうなのだが……だけど普通に歩くよりは確実に安全だろうし、試す価値はありそうだ。
百二十七頁目
流石にあの巨体を相手するとなると、念のために捕獲用の設備を先に作った方がよさそうだ。
だから一旦動物たちを引き連れて拠点に戻った俺は改めて石の建材を用意すると、少し離れたところに壊れにくい落とし罠風の捕獲設備を作り上げた。
もちろん石の土台に石のドア枠を積み重ねたものであり、その天辺からは外に向かってスロープが伸びているといういつもの奴だ。
これで中から矢を打って向こうの注意を引き付けることで相手はスロープを登り切った後で、この中に落ちて出られなくなる。
今まで何度も多くの生き物を相手に成功させてきた戦法だけに今回も何の問題もなく上手くいき、あっけなくこの巨体の生き物も仲間にすることができてしまう。
後は池から真珠を採取してプラットフォームサドルを作り、その上に安全な拠点を作り上げればさらに活動の幅が広がりそうだ。
……だけどやっぱり問題はあのゴーレムだよなぁ……何とか対策を考えないと……そういえば前に移動拠点に大砲を作って設置したことがあったっけ。
あの時は確か超巨大な草食を気絶させる用だったけれど、あのゴーレムが相手なら普通に対抗策として使うのもありなんじゃないかな?
百二十八頁目
カンガルーに乗って付いてくる少女と共にオベリスクへ向かった俺は相変わらず何か作業をしているハンスさんに声を掛けつつ、水中へ真珠を取りに行こうとした。
しかしそこでハンスさんは俺に言いづらそうにしながらも、もし自分を信頼してくれるのならば例の鉱石……弓矢に括り付けているオウ・ホウさんのそれを預けて欲しいというのだ。
……流石にそれはどうかとも思ったのだが、決して悪いようにはしないと言い……もし上手くいけばきっと俺の望みが叶う確率も上がるかもしれないという。
それでも躊躇してしまう俺が何気なくオウ・ホウさんの鉱石に視線を投げかけると、ほんのりと緑色に光輝いた気がした。
念のためフローラの鉱石も見つめてみると、彼女は困惑した様子で……だけど俺の判断を信じるとばかりに見つめて頷いてくれた。
……今のハンスさんは信じられる……いや仲間を信じないでどうするのか……多分オウ・ホウさんもそう言いたくて警戒色である赤ではなくて緑に輝いたのだろう……そう思いたい。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(キリンに似た草食動物)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
プロコプトドン(カンガルー)