百二十九頁目
改めてハンスさんにオウ・ホウさんの鉱石を預けた後で、俺は池を軽く観察して無害な魚しかいないことを確認してから飛び込んで真珠を探して回った。
ゴーグルのような装備を持っていないせいか水中は見通しが悪く、外からは光を反射してわかりやすかった真珠がなかなか見つからない。
それっぽい塊かと思って手を伸ばせばただの石だった……そんなことを繰り返しながらも、何とか真珠を一定量確保することができてほっと一息ついてしまう。
そうして浮かび上がってみると、必死に立ち泳ぎしているカンガルーの袋の中からご機嫌な様子の少女が手を伸ばして水面をパシャパシャ軽く叩いていた。
……初めて会った時に比べてほんの僅かにだが少しずつ表情が活き活きとして来ている気がするけれど、やっぱりあのカスタムドリンクが効果を発揮してくれているのだろうか?
それでも彼女に刷り込まれた人生観そのものは簡単に覆ることはないだろうけれど、健康になってくれるだけでも十分嬉しいことだと心の底から思えるのだった。
やっぱりハンスさんを信じて正解だった……だからきっとオウ・ホウさんの鉱石も……そう思ったところで、不意に少女が顔を上げて何やら声にならない声を漏らし始めた。
つられて顔を上げた俺が見たのは、まるでドローンの様に自立飛行しているあのキラキラした未来の機器のような物体であった。
ほ、本当に修理できたのか……しかもよく見ると中心にはオウ・ホウさんの鉱石が……そこまで気づいたところでその装置は俺の傍に近づくと、電子音声でありながらも聞き覚えのある声を発するのだった。
この声は……ま、間違いないっ!! オウ・ホウさんの声だっ!!
百三十頁目
ハンスさん曰く、どうやらあの謎の機械はガイド用ロボットのようなものだったらしいが、やはり未完成品のため内部のAIが上手く作用していなかったようだ。
しかしそこで俺が語った経験から魂のようなものが宿っている……或いは機能が残っているインプラントを掛け合わせれば、その人の意思で動かせるようになるのではと踏んで試してみたそうだ。
果たして実際に動けるようになったオウ・ホウさんは、自力で空を飛べる事に戸惑いつつも今までの様に見ていることしかできない状況よりはずっとマシだと喜んでいる様子であった。
そんな彼に幾つか質問してみるが、間違いなく俺の仲間だった時の記憶を持っているオウ・ホウさんその人だとわかった。
……身体こそ違うけれどこうして自分の意思で再び動けるようになるということは生き返ったって言っていいと思う……これならちゃんとした身体で蘇生する方法だって見つかるはずだ。
そう確信を強めながらフローラの鉱石を眺めてみたら、空をフヨフヨ浮かんでいるオウ・ホウさんの疑似ボディというかロボット体をどこか羨ましそうに見つめているではないか。
……ごめんね、俺が自分の腕に埋め込んじゃったから……で、でもフローラを生き返らせる時って多分これ外さないと駄目だよな……い、痛いだろうなぁ……。
今回名前が出た動物
シーラカンス(無害な魚)
プロコプトドン(カンガルー)