百四十頁目
俺の想定よりずっと早く、活動が厳しい気温になる昼時より前に移動拠点は完成した。
まるで鎧の様にパララ君の胴体に垂れ下がる岩の防壁、その上にちょこんと豆腐風の熱に強い粘土の建材で覆われた空間が存在する。
そこには最低限のクラフトができるよう作業机とすり鉢、非常食とメディカルブリュー保存用に食料保管庫があり、そして最後尾には護衛用の大砲がデンと鎮座して……いない。
前に島で作った際は工業炉などで大量にインゴットを生産できていたから気にならなかったが、今の俺達には大砲を制作するための材料は膨大過ぎたのだ。
おまけに弾を作るのにもインゴットやセメントといった貴重な素材が必要になると今更ながらに気づき、現状では作ったとしても維持しきれないと判断したためだ。
……あの生産力を知っている身としてはやはり早いところ工業炉と科学作業台だけは手に入れたい……もちろんそのためには電化製品もだし旋盤も……ああ、本当にあの頃みたいに素材をガンガン使えるようになりたいなぁ。
何せ人手は十分あるのだし本当に素材さえあれば一気に進める気がするんだけどなぁ……
百四十一頁目
暑さから逃げるように一旦皆が拠点に戻ってきたが、そこで俺は今後について軽く話し合うことにした。
今はもうハンスさんもちゃんと話を聞いてくれるし、そしてルゥちゃんと共にいるオウ・ホウさんもきっと俺の考えに色々と意見を述べてくれるだろうからだ。
そう思って俺は改めて今後の予定、というよりもそろそろ遠征しようと考えていることを告げてみた。
何せ緑のオベリスク近辺はかなり詳細に探索したため、これ以上新しい素材が手に入るとは考え難い。
しかし移動拠点の防衛用に大砲を作れなかったこと、また昼間でも活動できるようになる例の防具が一人分しかできなかったことを思うと、今の時点で遠征するには俺が一人で行かなければならないだろう。
例のゴーレムにしても動き自体は鈍重そうだったから、俺一人ならば機動力の差を生かして逃げに徹すればとりあえずなんとかなるはずだ。
今までは後ろをついて歩くルゥちゃんのことがあったからそれは無理だと諦めていたが、今ならばオウ・ホウさんとカンガちゃんがルゥちゃんの面倒を見てくれるため離れて活動できる。
ただそうなった場合当たり前だがハンスさんとルゥちゃん、それに今はガイドロボットとして余り多くのことができないオウ・ホウさんを置いて拠点を離れることになる。
俺抜きでこの危険な砂漠で過ごせるのか少し不安な気がして、だからこそ相談してみたのだがハンスさんは少しばかり心配そうであったが何とかすると言ってくれた。
またオウ・ホウさんもこの身体でも勘は働くから危険そうならすぐに避難するよう指摘できるから、きっと大丈夫だろうと言ってくれるのだ。
ルゥちゃんはわかっているのかどうなのかはっきりしないが、少なくとも分業できている状況からして俺が一時的に離れても問題はないだろう。
……やっぱり不安だけど、だからっていつまでも俺が傍で見守っているわけにもいかないし、ここは彼らが俺抜きでもやっていけると信じて行かせてもらうとしよう。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
プロコプトドン(カンガルー)