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一度分解しているためかそれとも左手首の鉱石で作り方自体は思いついていたお陰か、そこまで苦労せずに組み立てから設置まで終わらせることができてしまった。
しかもこのポンプは風の力か何かを利用しているようで、発電機のような動力源がなくても自然に動き始めて原油の採掘を自動的に始めてくれたのだ。
ガコンガコンとどこかで聞いたような音を鳴らしながら少しずつ原油を採掘して蓄えてくれる原油ポンプ……大量に貯まるまで時間はかかりそうだし、このまま放置しておいて気が向いたときにでも採取しにくればよさそうだ。
そう思った俺は改めてアルケンαに乗って空に飛びあがったところで、ついで何をするか少しだけ迷ってしまう。
幾ら設置に苦労しなかったとはいえ時間自体はそれなりに取られてしまって、既に世界は夕焼けに赤く染まる様な時刻になっている。
流石に今から遠征に行くのは辞めておいた方がいいだろうが、だからと言ってまだ世界を見通せる程度の明るさはあるのだから活動をやめて拠点に戻るのも勿体ない気がする。
だから残る時間で何ができるか悩みながら、ふと何気なく太陽が落ちていく方を向いたところでこの箱舟の外周部に広がる広大な砂漠地帯が目に飛び込んできた。
……そういえばあの場所は肉食が沢山居そうな上に熱を遮れるような場所がなくサボテンも殆ど生えていなさそうで危険度が高いためにまだ探索していなかった。
しかし今ならばただでさえ熱に強い装備をしている上に夕方で暑さも落ち着いている。
また喉の渇きもすぐそこにあるサボテンから滴る樹液でそこそこ潤っているから活動には問題ない。
この状況ならばアルケンαに乗って上空から軽く偵察に行っても流石に無事に戻ってこれそうだ。
……何があるのかも気になるし、試しにちょっと行ってみるとしますか。
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前の島では箱舟の外周部は大海原であったが、こちらでは地平線のかなたまで砂の大地が続いていた。
尤もここが宇宙に浮かぶ箱舟の中であることを考えると、恐らくある地点から先はやはり前の島と同じようにホログラム映像を投影したバリアが張られていると思われる。
もちろん検証した方がいいとは思うが、今の時点ではそれは難しそうだ。
日が落ちて周りが見通せなくなる時間がもうすぐだというのも理由の一つだが、それ以上に環境が余りにも酷すぎるのだ。
思った通り夕方だというのに日を遮るものがないためか、今の時点でもところどころから陽炎が立ち上っているように見えるほど熱が籠っている。
それでも今の装備ならば何とか耐えられなくもないのだが、その上でアルケンαの背中から地上を見下ろせばウジャウジャと厄介な生き物たちが犇めいているのだ。
体力を消耗させ気絶させる毒を持つサソリにヘビ、強酸性の体液でこちらの装備を腐食させてくるムカデ、そして死肉に群がっている初めて見るハゲワシのような生き物……どいつもこいつも個々の戦闘能力自体は大したことがないが面倒な能力持ちばかりだ。
正確には最後のハゲワシは良く分からないが、サソリやヘビに一斉に嚙みつかれて気絶させられたらそのままお陀仏だしムカデとの戦闘では飛ばしてくる体液や返り血で装備が壊されたらやっぱり暑さに耐えられず倒れてしまう。
島の時も外洋を探索するのはかなり成長してからでないと難しかったが、陸続きであるこの砂漠でもしっかり準備を整えてから出ないとこの場所の探索は難しそうだ。
新種の生き物であるハゲワシからとれる素材は気になったけれど、今無理する必要はないと自分に言い聞かせて引き返……そうとしたところでもう一匹新種と思わしき生き物が目に飛び込んできた。
結構奥の方にいるからはっきりとは見えないが人間ほどの大きさをしているフォルムが先鋭的というか独特な生き物……なのだけれどなんか見覚えのあるような気もしないでもなんだけど……?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケンα)
プルモノスコルピウス(サソリ)
ティタノボア(ヘビ)
アースロプレウラ(ムカデ)
ハゲワシ
●●●●(新種のはずなのに見覚えのある生き物?)